【転職活動】ウォシュレットが止まらない。

ある日、面接の一時間半くらい前に会場付近についてしまった為、近所のファストフード店で時間を潰していた時のこと。

イメトレ、提出書類の確認など、出来うる限りの備えを終えていた私は、「はっきり言って勝った」
と思っていた。面接に落ちる気がしなかったのである。

そして面接開始15分前。
髪型やネクタイの確認の為、トイレに入った。(というか面接中におしっこをもらしちゃうといけないので、面接前には必ずトイレに入る)

すると、思いの外ブリブリと実が出たので、備え付けのウォッシュレットを作動させようとした。
しかし、どうもこのウォッシュレット、型が古いようで、ボタンを押しても作動しない。
今考えれば紙でただ拭くだけで良いはずだが、面接前に尻を万全の状態にしておきたかった私はウォッシュレットにこだわった。
しかし、作動しない。
最終的に「あぁあ!」といったうなり声をあげてボタンを押し込むと、見事作動した。
冷たい水が菊門を刺激する。
贅沢を言えば温水が良かったのだが、なにしろ型が古いので致し方がない。
尻を微妙に左右させ、菊門全体をくまなく洗浄する。
完璧な状態に仕上がった尻に満足した私は、ウォッシュレットの「止」ボタンを押した。

止まらない。

そう、先ほどあれほど苦労して「洗」ボタンを押して作動させたのだから「止」ボタンも容易に作動するはずがない。簡単なロジックである。
私は青ざめた。
「もしこれ、水が止まらなかったらどうする」
という想像が全身を閃光のように駆け抜けた。カイジがなにかを思いついた時のアレである。
「止」ボタンを力の限り押し込む。なにか基盤のようなものに到達した気配があって、「もうこれ以上は押せない」という所まで押した。

止まらない。

これは、ボタンが壊れているのではなく、このリモコンからウォッシュレット本体に送る電波機能がイカれているのではないかと考えた。
この時点で面接開始まで約12分。時計を見たのではっきり覚えている。

店員を呼ぶか・・・・・・。
しかし絶望的な事にこのトイレ、店員のいるカウンターまで直線距離にして6メートル程離れている。
「おぉおい! ウォッシュレットが壊れたぞぉ!」
等と叫んでも、聞こえない可能性が高い。トイレ付近に座っている別の客を怖がらせるだけのような気がする。
というかそもそも、叫んで店員が来て、扉を合い鍵かなにかで開けたとして、どうするのだ。
なにしろ私は今、愚息を全面的に開示している状態だ。(パンツははけない。この状態でパンツをはくと、ウォッシュレットの水により濡れる。失われたパンツを後10分間で購入し、着用する自信が私にはなかった。
というかそもそもパンツが濡れたらスーツも濡れ、尻から水を滴らせながら面接会場へと放り込まれる事になるだろう)

・ボタンは作動しない
・店員は呼べない

これは、「どうあがいても絶望」な状態である。頭の中でサイレンが鳴り響く。

ちなみに私は、ウォッシュレットによる水害を過去に一度経験している。
その時、ウォッシュレット初体験だった私は「これがアレかよ」と興味津々でやや前のめりになって「洗」ボタンを押した。
するとウォッシュレットの水は私の尻をかすめ、背中をかすめ、頭を越え、床に「ボタボタボタ」とかいいながら落ちたのである。
パニックに陥った私は「うわぁあ」等と言いながら立ち上がってしまい、最初に顔面、次に腹、最後にポコチンに冷水を浴びた。
さらにパニックの境地に陥った私は、ドラゴンボールの孫悟飯の必殺技、「魔閃光」(画像検索)の構えで水を直接受け止めた。
なにしろ初ウォッシュレットだったので「止」ボタンを知らなかったのである。
しばらく「魔閃光」で水を受け止めた私はようやく「止」ボタンを発見し、再び顔に水を浴びながら見事ウォッシュレットを沈黙させたのである。

あれから10数年。青年から立派な大人へと成長した私は
「慌てて立ち上がると顔に冷水を受ける」
という危険を予知する事に成功していた。これこそ人の成長と言うに相応しい。

震える手でスマホを取り出す。「これは遅れる」という確かな予感があった。今後様々な奇跡が折り重なっても、どう考えてもあと8分で面接会場へは到達できないと思う。
いかにして説明したものか・・・・・・。
この際、正直に状況を説明するのも吉という気がした。笑って許してくれそうだ。そんな気配のする企業である。その場合、少しスーツのズボンを濡らしていった方がむしろ笑いがとれそうだ。

そこまで覚悟を決めた私は最後にちょいと、という軽い気持ちで「止」ボタンを押した。
すると微かな機械音がした後、ウォッシュレットが止まったのだ!

神はいる。その時の私はそう確信した。神はいるどころかトイレの中までご覧になっている。
便秘や下痢などの腹痛でトイレに籠もりながら「神様助けて!」と祈る人が多いと聞くが、是非諦めずに祈り続けて欲しい。トイレの神様は実在する。

その後私は光の速さで尻を拭き、乱れた髪型を整え、走り、なんとか面接開始までに会場へ着くことができた。

そして、ハンガーラックを壊すのである。

uxossyu

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