ss【キス魔の倒し方】

俺の幼馴染は「キス魔」だった。

彼女は幼稚園児の頃から誰彼構わずキスをして、小さい頃ならそれも「可愛い」で済まされたが、さすがに中学生になったあたりから両親に注意されるようになり、彼女もやたらとキスをするのをやめた。

しかしキスへの抵抗がないのは相変わらずのようで、求められればするし、自分がしたいと思ったらすぐにするといった状態だった。

俺はいつだか彼女に「なんでそんなに簡単にキスをするのか」と聞いてみた事がある。

すると彼女は「別に、唇と唇が触れることにそんなに嫌な感じがしないから。あんただって握手を求められれば握手をするでしょ。それと同じ」と答えた。とんでもない奴だ。

俺は、自分もいつかは彼女にキスをされるのだろうかと思っていたが、彼女はついに俺にキスをすることはなかった。

高校を卒業して、大学を出て、お互いいい歳になってから「どうして俺にだけキスをしなかったのか」と聞いたことがある。

すると彼女は「あんたとのキスだけなんかやだったから。あんたとは握手も嫌だった」と言った。

俺と手を繋ぐのも「やだやだ」と逃げ回っていた彼女のベールをあげると、彼女と目が合った。

「いい加減観念しろ」

彼女だけに聞こえるようにそう言ってから彼女にキスをする。

キス魔にとってキスなんて特別な意味はないはずなのに、顔を真っ赤にした彼女は俺と目が合うとベッと舌を出した。

(了)

あとがきラジオ

スポンサーリンク

コメントしてくださるんですか? ヒョエエー!

メールアドレスが公開されることはありません。