2019-10

ショートショート作品

色の目の使い方

(あの人……何かあるな) 僕は前を歩くサラリーマンを見てそう思った。 スーツはありふれたブラックのスーツだが、身につけたネクタイやバックがよくない"色"に見えた。 おそらく彼はこれから何らかの事故にあう。 それが軽微なものかそうでは...
ショートショート作品

おばあちゃんの庭鏡

「おばあちゃん」 私は縁側に座っているおばあちゃんに声をかけた。 おばあちゃんはいつもこの縁側の座布団にちょこんと座っている。 そして、縁側に置いてある大きな鏡を通して、庭を見ているのだ。 「あら、みきちゃん」 「帰ってきたよ」 ...
ショートショート作品

眠りの壺

ネームが煮詰まった俺は、知り合いの漫画家を訪ねることにした。 調子が出ない時は同じ苦しみを味わっているはずの友人と酒でも飲むのが一番良い。 友人宅に着き、呼び鈴を鳴らしたが返事がない。 ドアノブをひねってみると、するっと開いた。 不...
ショートショート作品

心泥棒に出会う方法

俺が瞑想にハマったのは、某掲示板のある書き込みがきっかけだった。 「時間があるニートは瞑想やれよ。人生が変わり始めるからマジで」 そんな書き込みだったと思うが、その頃の俺は無職で部屋に引きこもり、時間だけは無限にある状態だったので、興味...
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