2020-02

ショートショート作品

赤ペンを担いだ猫

 ある大雨の日だった。  我が家に赤ペンを担いだ猫がやってきた。  ピンポーンと音がしたので玄関の扉を開けてみると、黄色い雨合羽を着た猫が立っていたのだ。  雨合羽の帽子をすっぽりかぶった、茶トラの猫。 「...
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線香寺

近所に「線香寺(せんこうじ)」というお寺がある。 このお寺では、ある年に一風変わったカウントダウンが行われる。 今年はそのカウントダウンが行われる年だ。 線香寺には「線火楼(せんびろう)」という場...
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浮き輪国

浮き輪国の紳士に出会ったのは、僕が無人島で遭難していた時のことである。 一人で島巡りをしていたところ、船が突然大破。 なんとか流れ着いた無人島で「これまでか」と途方に暮れていると、海岸の近くに大きな浮き輪と紳士が現れた。 紳士は直径十...
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フクロウ貯金

「貯金できない男の人は嫌い」 それが直近のフラれ文句だ。 そうとも。俺は貯金ができない。 会社から給料が振り込まれれば一ヶ月の間に全て使ってしまう。 若い頃にはそれが「豪快でいい」「若者らしい」とプラスのイメージにつながることもあっ...
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山火の男

  山小屋までの時間を見誤り、すっかり日が暮れてしまった。   真っ暗な山道をヘッドライトの明かりを頼りに歩く。   と、近くで明かりがぽぉっと灯るのが見えた。   山小屋とは方角が違うようだが。   なんだろうと思い、明かりが灯った方向に...
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