ショートショート作品 赤ペンを担いだ猫 ある大雨の日だった。 我が家に赤ペンを担いだ猫がやってきた。 ピンポーンと音がしたので玄関の扉を開けてみると、黄色い雨合羽を着た猫が立っていたのだ。 雨合羽の帽子をすっぽりかぶった、茶トラの猫。 「... 2020.02.22 ショートショート作品
ショートショート作品 線香寺 近所に「線香寺(せんこうじ)」というお寺がある。 このお寺では、ある年に一風変わったカウントダウンが行われる。 今年はそのカウントダウンが行われる年だ。 線香寺には「線火楼(せんびろう)」という場... 2020.02.22 ショートショート作品
ショートショート作品 浮き輪国 浮き輪国の紳士に出会ったのは、僕が無人島で遭難していた時のことである。 一人で島巡りをしていたところ、船が突然大破。 なんとか流れ着いた無人島で「これまでか」と途方に暮れていると、海岸の近くに大きな浮き輪と紳士が現れた。 紳士は直径十... 2020.02.15 ショートショート作品
ショートショート作品 フクロウ貯金 「貯金できない男の人は嫌い」 それが直近のフラれ文句だ。 そうとも。俺は貯金ができない。 会社から給料が振り込まれれば一ヶ月の間に全て使ってしまう。 若い頃にはそれが「豪快でいい」「若者らしい」とプラスのイメージにつながることもあっ... 2020.02.08 ショートショート作品
ショートショート作品 山火の男 山小屋までの時間を見誤り、すっかり日が暮れてしまった。 真っ暗な山道をヘッドライトの明かりを頼りに歩く。 と、近くで明かりがぽぉっと灯るのが見えた。 山小屋とは方角が違うようだが。 なんだろうと思い、明かりが灯った方向に... 2020.02.01 ショートショート作品