ショートショート作品

枕通信

 最近おかしな夢を見る。  目の前に火星人のようなおかしな生物がたくさんいるのだ。  どうやら僕もその火星人の一人のようである。  火星人として時を過ごす、そんな夢だ。  どうやら同じ人……人と言っていいの...
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意味ありげなボタン

 昔から起きている現象の話をする。  私の目の前に、気がつくとボタンがあるのだ。  絶対なんでもない場所なのに、なぜか押しボタン式のボタンがある。  そのボタンは私にしか見えないようだ。  私は一度もそれを...
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たぬきさんカフェ

 当てのない旅に行った時、迷い込んだ山でタヌキに出会った。  タヌキは私を案内するように山の道を進んだ。  もしや迷い込ませる気か、と思ったのだが、私は好奇心からついていくことにした。そういう旅だった。  やがて、...
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胴上げの栽培

 私は植物学者であるが、世間から認められることはなかった。  しかし私は、密かにあるものを育てていた。  誰からも賞賛されなかった私のためだけに研究したものだ。  研究所の大きな一室に、ざわざわとそれは生えていた。...
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泥より出しもの

 私は、執筆に集中するために、出版社の用意したこじんまりとした旅館にやってきていた。  いわゆる"缶詰"というやつである。  この旅館の部屋の近くには、池、というか沼があった。  ある日、沼からこの部屋に向かって泥...
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寝袋美容師

 ガイドの人に案内されて、私はある山の山小屋までやってきた。  かなり標高が高い。  そこで私は寝袋の中にもぐった。  翌朝、目が覚めると素敵な髪型になっていた。  まさか、本当にこんなことが起こるなんて、と驚いて...
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水中DJ

 今日も僕は海にもぐる。  以前、ダイビングをした時に発見した場所に向かう。  水中で使えるターンテーブルやスピーカーを特注し、僕は水中DJとしてこの海で活動している。  僕が音楽を鳴らすと、たくさんの魚が集まって...
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日記島

 私はある島に来るように言われて、一人、この島にやってきた。  この島の周辺には、ある珍しい魚がいる。  それは「日記魚」という種類の魚だ。  この島の周りを、飛び魚のように日記帳が飛び回っているのである。 ...
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夢見の席

 小林がこんな点を……?  あの子は数学が得意なはずなのに。  最近、できる子のテストの点数が下がっている。  一体どうしたというのだろう。  原因を考えていた私は、はっとある理由を思い至った。  ...
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銀行の鍵

 同僚の田沼さんが「今日、少し残ってくれるかな」と言ってきた。 「はぁ」  僕がそう返事をすると、田沼さんは自分の席に戻って行った。  僕たちが働いている銀行にはそれなりの行員がいる。  僕と田沼さんを除く...
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