ショートショート作品

魔法の串

 友人に呼ばれて、僕は友人の家に向かった。 「焼鳥を振る舞うよ」 と聞いていたのだけれど、友人の家には焼き機らしきものが見当たらない。 「大丈夫、これがあるから」  彼はそう言って肉を串に通し始めた。 ...
ショートショート作品

君の髪を

 彼女が初めてそのことに気づいたのは、お母さんに髪を切ってもらった時だった。  切ったあとの髪が光ったのである。  お母さんは、すごい、とはしゃいだが、彼女は嫌だったらしい。  彼女は長い間お母さんに髪を切ってもら...
ショートショート作品

バエサンキャク

 彼女と一緒に、車でバエサンキャクを探しに行った。  バエサンキャクとは、野生の三脚で、写真が映えるスポットに生息している。  バエサンキャクにスマホを設置して写真を撮ると、いい写真が撮れるというわけだ。  紅葉シ...
ショートショート作品

宇宙人の子

 僕は父子家庭で育った子供で、いつも遊ぶ時は一人だった。  昔からそうだったから、特にそれを不幸に思ったことはない。  その日は夏休みで、僕は家で一人遊んでいた。  暑い日で、扇風機をつけていた。 「ワレワ...
ショートショート作品

さえずり鳥の鳥害

 さえずり鳥という鳥がいた。  人の話を聞いて覚えてしまう鳥である。  さえずり鳥は聞いた話を人間そっくりな声で鳴く。  さえずり鳥からさえずり鳥へ、噂があっという間に広がる現象が起きた。  ちょっとした噂...
ショートショート作品

洗脳扇風機

 ある扇風機が発売中止になった。  なんと、扇風機に洗脳効果があるというのだ。  扇風機に向かって「われわれは宇宙人だ」とやっていた人が、本当に自分が宇宙人だと思い込んでしまったのである。  扇風機は廃棄に処分にな...
ショートショート作品

美味しさMRI

 美味しさを測る機械が発明された。  MRIのようなゲートである。  このMRIに通すと、その物の美味しさ成分が分析できるのだ。  人によって美味しいと感じるものとそうでないものがあるが、そのあいまいな「美味しさ」...
ショートショート作品

様々な養殖

 ある地方に出張に行った時のこと。  取引先である、その町の人と海岸を歩いていると、昆布のようなものを養殖しているのが見えた。  私は言った。 「あれは昆布ですか」  すると、町の人は言った。 「あ...
ショートショート作品

絶滅したマント

 大昔のこと。  この世界には「野生のマント」がいたらしい。  そこらじゅうをマントが飛び回っていて、捕まえて空を飛べたそうだ。  言うことをきかせて、しつけることなんかもできたらしい。  現代でいうところ...
ショートショート作品

警備わらし

 画期的な防犯方法が開発された。  座敷わらしに頼むのだ。  空き巣が入ると、座敷わらしが警察への通報ボタンを押し、さらにポルターガイストのように家の物を浮遊させて空き巣を驚かせる。  そうして空き巣を撃退するとい...
タイトルとURLをコピーしました