小狐

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泥睡眠サロン

「食べてすぐ横になると牛になるよ!」  夕食後、ソファで横になっていると妻にそう怒られた。  息子がそれを聞いてお腹を抱えて笑う。  休日くらいゆっくり休みたいんだけどなぁと思いながら俺は体を起こした。  ...
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臨死体験バーベキュー

 天にも昇る美味しさのバーベキューを食べられるお店があるらしいとの噂を聞いて、私はさっそくその店の予約をした。  単に美味しいものを食べたい訳ではない。  去年亡くなってしまった飼い犬のミッコに会いたいのだ。  私...
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噂おばけ

 私は小学校で「噂おばけ」の噂を聞いた。  この小学校には"噂おばけ"というおばけがいるらしい。  その噂を聞いた時、私はすぐには信じなかったのだけれど、ちらほら「噂おばけに会った」という子が現れ始めたのだ。  で...
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待ち合わせは姫草の前で

 まだ小さい頃、お母さんと一緒に「姫草」を植えた。 「この草はね、あなたにとって運命の人が現れたら花を咲かせるのよ」  お母さんはそう言っていた。 「お母さんの姫草はお父さんが来た時に咲いたの?」  私がそ...
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三十歳学校

「おはよう」 「おはよう〜」  その日、私は学校に登校した。  先に登校して机に座っていたクラスメイトに声をかけて自分の席に鞄を置く。  懐かしい雰囲気だ。  学校に通っていた頃はこうだったなぁなん...
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蓄光パンツ

 僕はその日、友達と近所の公園で遊んでいた。  鬼ごっこやケイドロなどをして遊んでいると、いつの間にかすっかり暗くなっていた。 「あ!」  突然、友達の一人が僕を指差して叫んだ。  なんだろうと思って僕が自...
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そっくり徳利

 居酒屋で、ある会社の忘年会が開かれていた。  会は盛り上がり、皆無礼講を楽しんでいた。  と、そこに居酒屋の店主が「面白いものがあるんです」とあるものを持ってきた。  それは"徳利(とっくり)"であった。 ...
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近眼茶屋娘

 ある山の峠に茶屋があった。  その茶屋はいつも客で賑わっていた。  その理由は看板娘である。  看板娘には愛嬌があった。  看板娘は茶菓子を運ぶ際、「一番のお客さん、お団子おまちどぉ」などと言って顔をぐい...
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白衣の狼男

 私は医者である。  外科医である私は今日も手術を行っている。  目の前に横たわっている人間を見ていると、ついよだれが出てきてしまい、マスクの中が濡れた。  このよだれは生理現象のようなものだ。  私の"狼...
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お墓参りは雨の日に

 私は準備をする前に明日の天気を確認した。 「よし、大丈夫そうだ」  一人そう言ってから、私は出かける支度を始めた。  いつからかはもうよく覚えていないが、妻の由美子は「私のお墓参りは雨の日に来てね」と言うよ...
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