ショートショート作品

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親密魔法陣

 幼い頃、いたずらで床にお絵かきをしていた私は、なんと悪魔を呼び出してしまった。  適当に書いた図形の羅列が悪魔召喚の図になっていたらしい。  悪魔は私に言った。 「おまえの願いを叶えられる魔法陣を一つ教えてやる。...
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引き抜き場

 会社員として働いている僕に引き抜きの話があった。  別の会社から「うちに来ないか」と誘われたのである。  法律に則って、一週間後に引き抜きが行われることになった。  参ったなぁ……。  あっという間...
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たぬきの失態

 ある山に一匹の狸がいた。  その狸は通常の狸の何倍も長く生きており、変化の術を身につけていた。  そんな狸にはある願望があった。 「鳥になってみたい」という願望である。  空を自由に飛び回る鳥に憧れていた...
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キャンバスの落ち葉

 ある日、私が駅に向かって歩いていると、木の根元にある落ち葉が丸を描いていた。  あんまり見事な丸だったので、これは偶然だろうか? それとも誰かがほうきで落ち葉を掃いて丸を描いたのかな、なんて考えていた。  しかし次の日、...
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影の口

「おまえ、俺のことうざいって思ってるだろ!」  突然、クラスメイトのりょーくんが怒った。  まただ。  昨日の中休みから、僕の影が変なのだ。  僕の影は他の誰かの影と重なると、なんとしゃべりだすらしい。 ...
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仮病の達人

 僕は今リビングでテレビを見ていた。  画面に弟が映っている。  有名なドキュメント番組だ。  その題名は「仮病の達人」となっている。  弟は人に仮病の使い方を教える仕事をしているのだ。  弟が「自...
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記憶のドクターフィッシュ

 ドクターフィッシュとは人間の古い角質を食べてくれるありがたい魚である。  そんなドクターフィッシュの中には人間の記憶を消してくれるものがいるらしい。  私はさっそくそのドクターフィッシュのいる店までやって来た。 ...
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鏡面生命保険

 鏡に自分を映すと自分のスペアができる保険があるらしい。  その名前を「鏡面生命保険」と言うそうだ。  鏡面生命保険に入っておけば、もし仮に自分が死んでしまっても生き返ることができるのだという。  鏡面生命保険の保...
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おしゃべりドライバー

 新しい工場に配属になった。  この工場では面白いドライバーを使って部品を組み立てている。  ドライバーを手に持って部品を組み立てると「あぁ、いい締め具合だな」などとドライバーがしゃべるのだ。  ドライバーの反応に...
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つぶやく手鏡

 大学生になったばかりの頃、お母さんに「どっちかあげる。どっちがいい?」と聞かれた。  お母さんが持っていたのは手鏡だった。  四角い手鏡と丸い手鏡。  私はすぐに「丸い方!」と答えた。  いつもお母さんが...
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