ショートショート作品

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すごろく引越社

 妻と二人暮らしをしている部屋から引っ越しをすることになった。  東京を出て地方移住をするのである。  部屋を決めた僕たちは引越し業者を探し回った。  すると、なんと一万円で請け負ってくれるという業者が見つかった。...
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人魚のボディソープ

 おかしなボディソープを発見した。  これで体を洗うと人魚になれるらしい。  ちょっと値段が高いけれど、密かに人魚に憧れていた私はこのボディソープを買ってみた。  家に帰り、さっそくお風呂に入ってボディソープを試し...
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千里笛

 昔育った村で私はよく笛を吹いた。  実家の納屋にあった、古い不思議な形をした笛である。  その笛を吹くと、不思議なことが起きた。  笛の音が鳴る度に、頭の中に見知らぬ風景が浮かぶのである。  その風景はど...
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嘘つき水晶

 僕はある都会の町で占い師をしている。  この町は嫌いではない。  だけど、僕は最近、自分はここにいるべきじゃないと思うことがあるのだ。  僕は昔から水晶の中に未来を見ることができた。  何も意識せず...
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線引寺

 私は新卒採用担当者として新入社員採用の選考を行っていた。  合格者は後一人しか出せない。  しかし私は二人の学生で迷っていた。  高橋さんかそれとも佐藤さんか。  どちらも同じくらい良い学生さんなので決め...
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ひなたスプリンクラー

 私はある運動場の管理人として働くことになり、前任者からの引き継ぎを受けた。  この運動場には「ひなたスプリンクラー」という珍しい設備があるらしい。  ひなたスプリンクラーは日光を溜めておいて、雨の後などに日光を放射して乾...
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占いのふすま

「占い出たよー」  そんな母の声を聞いた僕はテレビのある洋間……ではなく和室に向かった。  両親の寝室として使われている和室にあるふすまに、家族みんな一人ひとりを表す絵が現れている。  僕の絵は涙を流していた。 ...
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光鍋

 僕は土鍋を洗ってからベランダに干した。  土鍋にたっぷりと光を吸わせるためだ。  この土鍋は闇鍋の逆で光鍋と呼ばれるものである。  この土鍋で鍋を作るとどんな鍋でも美味しくできるのだ。  土鍋を置いて水を...
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佇むシーツ

 夜、寝転びながらテレビを見ていたら、背後から何か気配を感じた。  振り返って見てみると、なんとそこにシーツが浮かんでいる。 「うわーーー!」  僕が叫び声を上げると、いつも僕より先に寝る妻が「どうしたのー?」と目...
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化けの抜け殻収集家

 私はカメラとペンを持って資産家の家にやってきた。  資産家は威厳たっぷりに言った。 「私のコレクションを見たいだって? ふん。無駄だと思うがね」  資産家はため息をつきながら私をコレクションルームに案内した。 ...
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