ショートショート作品

海のホスト

 私は取材で海際に建つ家にやってきた。  ここには「海のホスト」がいる。  彼はにこっと笑いながら言った。 「何故か魚に好かれてしまうんですよ」  なんでも、彼はただ普通に泳ぐだけで魚に好かれてしまい、魚が...
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彼女が振り向くと

 初めて大学に行った時、私はあの子に出会った。  大学ってどんな所だろう、これからどんな授業をするのかなぁ、なんて考えながら歩いていた私は、前をオシャレな女の子が歩いているのを発見した。  彼女は桜色のロングスカート履いて...
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エコドッグ

 私は靴を履いてから口笛を吹いた。  三匹のエコドッグがトコトコと寄ってくる。  今日は……一番小さいマルでいいか。 「おいで」  私はマルに声をかけた。  マルは私の後をトコトコとついてくる。 ...
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夢啓発の誘い

 私は自己肯定感が低い。  何かにつけ「自分なんか」と思ってしまう。  そんな私に友達が「夢啓発いいよ」と言った。 「なにそれ?」 「夢の中で褒めてもらうの。しかもイケメンに」 「イケメンに!? ど...
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ルーティンアイス

 娘の詩織は実家暮らしをしながら都内の会社に通っていた。  朝、母親が怒りながら詩織を起こしに来る。  詩織は朝が苦手で、いつも会社に遅刻しそうになるのだ。  詩織は、無意識に起きたり歯を磨いたり、ご飯を食べたりで...
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感情カルテ

「感情カルテ」を使ってみた。  自分の感情を、豆粒みたいなドクタードローンに観測してもらって、カルテを作るのだ。  自分の感情の起伏を理解して、仕事に役立てようと思ったのである。  感情カルテを作ってみると、自分は...
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星のストロー

 夏の夜、良彦は姪の里子に言った。 「さとちゃん、面白いものを見せてあげる」  良彦と里子は二人で小さな山に登った。  良彦はストローを一本取り出すと、口にくわえて、その先を夜空に向けた。  それから良彦は...
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悟りのスリッパ

「おはよ〜……」  げっそりした顔の同僚が出勤してきた。 「どうした、随分体調が悪そうじゃないか」 「いやぁ、最近おかしなスリッパを買ってね」 「スリッパ?」 「あぁ。"悟りのスリッパ"っていうもの...
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霧の中の子供

 私が河川敷を一人歩いていると、もやもやと霧が立ち込めていた。  そして、その中に赤ん坊がいた。  なんだろう……あれ。  不思議に思った私が霧を見ていると、霧の向こうから女の人が走ってきた。  女性はラン...
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温度ペン

 コヤギ博士に呼び出され、私は博士の研究所に向かった。  やってきた私に博士は言った。 「まぁ、コーヒーでも。ホットとアイス、どちらがいいかね?」 「じゃあホットで」  私がそう言うと、博士がコーヒーを淹れ...
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