ショートショート作品

悪寒おかん

 昔から母は勘が鋭い。  僕が何か悪いことをしようとすると、悪寒が走る。  見ていないはずなのに、どこかで母が見ている気がするのだ。  母いわく「虫の知らせがあると念を送っているのよ」とのことらしい。 ...
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悪寒布

 僕は街をぶらぶら歩いている時にある古着屋に入った。  適当に服を見ていたら、おかしな服を見つけた。 「夏でも絶対涼しい! "悪寒布"で作られたTシャツ」  なんだこりゃ、と思った僕は店員さんにそのTシャツについて...
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ある奇妙な島から

 ある日、突然おかしな島が出現した。  三角形の形をした島である。  突然現れたその島をどこの国の領土にするのか話し合いが行われたが、すぐに取りやめになった。  不思議なことに、なぜかみんなその島にゴミを捨ててしま...
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不安レター

 ある小説家の元に一人の女の子からファンレターが届いた。  ファンレターなどもらったことがなかった小説家は舞い上がった。  しかしよくよく中身を読んでみると、それは女の子が自分の不安を書き綴っただけの"不安レター"だった。...
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能力型格安物件

 私はある変わった不動産屋さんにやってきた。  ここで紹介してもらえる物件は全部どこか"変"らしい。  そんな不動産屋さんに紹介してもらった物件の中で私が興味を持ったのは「能力型格安物件」というものだった。  その...
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至高のリコーダー

 吹奏楽部の三年生である僕は今日も練習に励んでいた。  顧問である戸崎が何事かぶつぶつと呟きながら僕たちの練習を聴いている。  戸崎は生徒たちの間で「つぶやき戸崎」と呼ばれている。  戸崎は厳しいことで有名な顧問で...
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二十三妖の部屋

 不動産屋で僕は良い部屋を見つけた。  家賃も手頃で住みやすそうな部屋である。  しかし不動産屋さんは「その部屋ですか……」と顔をしかめた。 「幽霊ですか?」 「いや、まぁそんなものです……」 「僕...
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たぬき山登頂記録

 登頂不可能と言われている「たぬき山」という山がある。  その山に登っていると、途中で狸に化かされてしまうのだ。  だからまだ山頂にたどり着いた人間がいないというわけ。  私はそのたぬき山に何度も挑戦している...
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体内時計インストール

 だらしない私にぴったりなサービスがあると聞いた。  そのサービスとは、なんと体内に"体内時計"をインストールできるサービスらしい。  念の為言っておくが私はロボットではない。  普通の人間だ。  そんな私...
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想い人bar

 私には悩みがあった。  それは「好きな人がいない」ことである。  昔から誰か人を好きになるということがなかった。  私は飲み会の席で特に仲の良い同僚についそんな話をしてしまった。  するとその同僚は「いい...
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