ショートショート作品

開眼目薬

 私は丘の上にあるコヤギ博士の研究所を尋ねた。  コヤギ博士は変わった発明ばかりをしている私の友人である。  コヤギ博士の目はどろ〜んとうつろな時もあれば、らんらんと輝いている時もある。  今日はコヤギ博士の目がキ...
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寄り添い草

 我が家に待望の子供が生まれ、私たち夫婦は習わしに則って草を植えた。  これは「寄り添い草」と言って、子供と一緒に成長する長寿の草である。  寄り添い草は縦に伸びる草で、子供の身長が伸びるとその分だけ草も伸びる、不思議な草...
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体育館の亡霊

 近所に面白い体育館があると、ゲートボール仲間から教えてもらった。  なんとその体育館は「体が若返る体育館」らしい。  体育館の中に入ると自分が一番活発だった頃の体の動きに戻るそうだ。  私は仲間たちと一緒に...
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キャンプのお供に羊を

 私は彼と一緒にキャンプ場にやってきた。  彼は新しい物好きの性格である。  電気自動車も発売してすぐに買っていた。  今日はその電気自動車に乗ってキャンプ場までやってきたのだった。  そんな彼の新しいもの...
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雪舟とじいちゃん

 僕の住む村には雪舟伝説という伝説がある。  この村で人が亡くなると、雪の船が山の頂上に向かって走っていく、という伝説だ。  その船は人の魂を載せていて、頂上につくと山に帰るらしい。  だからこの村では、人が死んだ...
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微電流ネクタイ

 僕はあるネクタイを開発した。  それは電源ボタンつきのネクタイである。  朝、どれだけ眠くても、このネクタイを締めて電源ボタンを入れれば、体中に微電流が流れて強制的に目が冴える。  そんな僕の作ったネクタイは空前...
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サンダルを履いた霊

 僕は私立探偵、小狸信史。  最近「サンダルを履いた霊が出る」という噂を聞いた。  僕はそのサンダルを履いた霊が出るというアパートに住む住人から、霊をなんとかして欲しいという依頼を受けた。  僕の仕事は私立探偵なの...
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紙面RPG

 勉強嫌いな僕に、おじさんが言った。 「絶対に勉強したくなる魔法をかけてやる」  おじさんは僕の頭にポンッと手を置くと「はい、これで絶対に勉強がしたくなるぞ」と言った。 「全然ならないけど」 「いいからいい...
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初心の天井

 なんだか最近、人生が停滞している気がする。  何があったわけでもないのだが、人生が先に進んでいっていない気がするのだ。  そんな時、俺は「初心の天井サロン」の話を聞いた。  そのサロンは不思議なところで、行くと必...
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話題蒸し返し器

 この世界には「置いてけぼりにされた話題」がたくさんある。 「それはちょっと置いといて」とその辺に置いておかれるのである。  私にはそんな置いてけぼりにされた話題が見える。  置いてけぼりにされた話題は、なんという...
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