ショートショート作品

帰れないおじさん

 僕の名前は小狸信史。私立探偵をしている。  僕の住む町では最近、子供の行方不明事件が頻発していた。  友人である古市刑事から聞いたところによると、その行方不明事件には「帰れないおじさん」という人物が関係しているらしい。 ...
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孤島のサイコロ

 海難事故に見舞われた私は無人島に漂着した。  島は歩いて三十分ぐらいで一周できる小さな島だった。  島を探索した私は島の真ん中にある山の頂上でお椀型の岩を発見した。  そのお椀型の岩の上に、サイコロが転がっていた...
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口笛橋の噂

 僕の住む町には「口笛橋」と呼ばれている橋がある。  山と山の間にかかっている口笛橋は家までの近道なのだが、正式な通学路ではないので通ってはいけないと言われている。  そしてその口笛橋にはある噂があるのだ。  それ...
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白浜をさまよう

 ある、幼い頃の記憶がある。  ある日を境に家の中が静かになった。  私は子供心に「何かが起きた」と悟った。  でも何が起きたのか、分からない。あるいは覚えていなかった。  そんな中、私はいつも以上に...
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ゆでダコ課長

「ゆだってんじゃねぇぞ!」  そんな一言でゆでダコ課長に企画を突っ返された。  ゆでダコ課長がなぜそんなあだ名で呼ばれているのかは知らないが、大方すぐにこうやって真っ赤になって怒るからだろう。  俺は釈然としない気...
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星の浮かぶ池

 私は夜の公園で一人、ぼーっと空を眺めていた。  今日は星がよく見える。  夜空に輝く星々は公園にある池にも反射していた。  私が池に映る星を眺めていると、一つの星がすーっと動いた。  流れ星だ、と思った瞬...
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人肌毛布

 人肌の温かさを保つという毛布を買った。  夜、眠る時ベッドに入るとその毛布がすでに温かいのだ。  冬なんかはベッドに入る時に勇気がいるので、これは良いものを買ったなぁと思った。  しかしある日、毛布が全然温...
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不明の捜査員

 私は今、一人山を歩いている。  この山のあるこの町では最近行方不明者が続出している。  私はその捜査員としてこの山を捜査しているのだった、  行方不明者の数はこの一週間で二十人にものぼっているが、誰一人としてまだ...
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ポータブル相撲キット

 今、日本では「ポータブル相撲キット」というARアプリが大人気である。  ARとは拡張現実のことで、現実の風景に様々なものを映し出す技術であるが「ポータブル相撲キット」は実際にはそこにいない力士同士を戦わせることができるアプリだ。...
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笑顔霊園

 うちの霊園に来ると思わず笑顔になってしまうという噂が流れている。  悲しい気持ちでやってきても笑顔になって帰ることができるという好意的な噂なのだが、私はその原因を知っていた。  この霊園には生前お笑い芸人さんをやっていた...
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