「仮病で休むとおばけがでるよ!」が母さんの口癖だった。
そんな子供だましには乗らない、と私は時々仮病で学校を休んでいたのだけれど、ある日、本当におばけに出会ってしまった。
仮病おばけは、なぜか仮病で学校を休んだ時だけ現れる。
怖い……けど、私は仮病で休み続けた。
おばけが出る怖さより、仮病で学校を休む楽しさを取ったのだ。
そして、やがて私は仮病おばけと仲良くなってしまった。
話しかけてみるとおばけは案外気さくな奴で、最終的には休んだほうがいい時に私に憑依して、仮病を手伝ってくれるようになった。
そんな仮病おばけだったけれど、私が大人になって、娘ができたらいなくなってしまった。
娘にだけ見える存在になってしまったらしい。
この子が大きくなって、仮病を使うようになったら、その時は多めに見てあげようかなと思っている。
コメント