ショートショート作品

夢ごみ収集人

 集積所に着いた。  そこに置かれたものを集積車に積み込んでいく。  これは夢の亡骸だ。  現世で捨てられた夢がここに集まる。  僕の仕事はそれを集めることだ。  同僚の杉崎さんと一緒に、集積所を回...
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蛇口のおじさん

 中学校の頃、クラスのみんなからはぶられた。  無視されているだけだから、いじめじゃないって思っていたけど、今考えればあれはれっきとしたいじめだったと思う。  三年間クラスが一緒の人がいて、その人がクラスで権力を持つタイプ...
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カチンコ保険

 カチンコ保険というものがあるらしい。  カチンコを一回鳴らすと、その人の人生が記録され始める。  解約するときや、契約者が亡くなって保険が必要なくなった時には、カチンコが二回鳴らされる。  霊安室にやってきて鳴ら...
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アーティストドリンク

 私は絵かきをしている。  だが、最近描きたい絵が思い浮かばない。  たくさんの絵を描きすぎて、「絵とはこうあらねばならない」という考えに囚われているように思う。  そこで私は「アーティストドリンク」なるものを飲ん...
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メロディ暖炉

 あるコテージの支配人が、ある時気づいた。  暖炉に薪をくべると、パチパチと薪が燃える音がするが、その音がメロディになっている。  珍しい童謡を暖炉が奏でている。  これは面白いぞ、と、支配人はその暖炉を「メロディ...
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火男のいる山

 その山には火男が出るらしい。  その山にはキャンプ場があって、焚き火の前で寝落ちしてしまっても、火を見ていてくれるそうだ。  その山はキャンパーに人気だった。  その山の、してはいけない場所で焚き火をしたキャンパ...
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洗面器にまつわる都市伝説

 友達から、ある都市伝説の話を聞いた。  夜中の2時37分に洗面器に水を張って、水泳用のゴーグルをつけて洗面器に顔をつけると、異世界が見えるらしい。  さっそくその日の夜中に試してみると、確かに洗面器の中におかしな世界が見...
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枕通信

 最近おかしな夢を見る。  目の前に火星人のようなおかしな生物がたくさんいるのだ。  どうやら僕もその火星人の一人のようである。  火星人として時を過ごす、そんな夢だ。  どうやら同じ人……人と言っていいの...
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意味ありげなボタン

 昔から起きている現象の話をする。  私の目の前に、気がつくとボタンがあるのだ。  絶対なんでもない場所なのに、なぜか押しボタン式のボタンがある。  そのボタンは私にしか見えないようだ。  私は一度もそれを...
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たぬきさんカフェ

 当てのない旅に行った時、迷い込んだ山でタヌキに出会った。  タヌキは私を案内するように山の道を進んだ。  もしや迷い込ませる気か、と思ったのだが、私は好奇心からついていくことにした。そういう旅だった。  やがて、...
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