「運命割」という制度ができた。
それは運命が過酷な人のための制度だった。
国の認定占い師に運命を見てもらい、一定以上の基準値に達している人は様々な割引を受けられるのだ。
認定占い師による認定は一年ごとに更新される。
僕も運命割を受けている身だ。
確かに、色々大変だからなぁ。これくらいの恩恵は受けてもいいだろう。
そんな僕に彼女が出来た。
僕の悪い運命は一緒にいる人も巻き込むと占い師に言われていたので、僕は何度も彼女に「付き合うのは止めたほうがいい」と言ったけれど、なぜか彼女は引かなかった。
「色々なものが安くなるからいいじゃない」なんて笑っていた。
彼女は本当に変わった人だった。
彼女は僕の運命に翻弄され、僕と一緒に散々な目にあった。でも、全然僕と別れようとしない。
ある日、耐えられなくなった僕は彼女に尋ねた。
「どうして僕と別れないの?」
「どうしてって、好きだから」
僕はもう聞くのをやめた。
そして覚悟を決めて彼女にプロポーズをした。すると、なんと彼女はOKしたのである。
思わず僕は「正気!?」と慌ててしまい、彼女に笑われた。
一緒に暮らすことになって、まずは彼女が僕の部屋にやってくることになった。
まもなく引越し業者がやってくる。
引越し業者への依頼料にも運命割はあるそうだが、僕はもうその割引は受けられない。
コメント