小狐

ショートショート作品

先輩のある星にまつわる話

 船内で暇をしていた僕は、先輩に「面白い話ないですか?」と聞いた。  すると先輩はこんな話をした。 「今まで食べた一番美味しい料理について教えてやろうか」 「えぇ、ぜひ」 「宇宙は広いからな、たくさんのもの...
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最初の果実

「こちらデザートになります」  私は新しくこの国の国王となった男の前に、切り分けた果実の載った皿を置いた。  軽く一礼して私は歩き出す。  この男の食事を邪魔しないように。  この男の悲哀に触れないように。...
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家電の様子

 最近家電の様子がおかしい。  瞬きを二回すれば明かりをつけるはずの電灯が、瞬きに反応しない。  コンコンと二回ノックすればご飯を炊いてくれるはずの炊飯器も反応しない。  色々試行錯誤した結果、どの家電も土下座のポ...
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エコロケーションの苦悩

 私は無口な人間だと思われている。  しかし実際は違う。  違うはずなのだが、もう自分でもよく分からない。  私には昔からおかしな能力があった。  自分が言葉を発すると、その言葉に反響した人の考え方が分かる...
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影のタスキ

 僕の影がタスキをかけていた。  駅伝などでかける、あのタスキである。  もちろん僕はタスキなんかかけていない。  これが、あの噂の"影タスキ"か……!  影が突然タスキをかけるという影タスキの噂は聞いてい...
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蛍光灯の流れ星

 ある日の夜中、パソコンに向かってレポートを書いていると、窓の外がビカッと光った。  何事かと窓を開けたその瞬間、眩い光が部屋に飛び込んできた。  一瞬目の前が真っ白になって気を失いかけたけれど、なんとか持ち堪える。 ...
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レストランのエプロン

 彼と一緒にあるレストランに入った。  そのレストランは評判の高いレストランで、とにかく料理が美味しいという。  実際に食べてみると、なるほど、確かに美味しい。  でも……何か違和感がある。  違和感の正体...
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廃墟の三角窓

 私は今、町内屈指の心霊スポットに来ている。  町はずれの廃墟だ。  さすがに一人では心細いので、友だちの沙優を連れてきている。  しかし沙優は心霊系にはめっぽう弱く、さっきから泣き通しだ。  なぜ沙優を連...
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人の栓抜き

 連日の激務で心身ともに疲れ果てていた時、同僚がこんなことを言った。 「おまえも"栓"抜いてもらえよ」 「栓……?」  なんでも同僚が言うには、人間には"栓"があるらしい。  ちょうど、風呂の湯船についてい...
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入湯権利

 僕は緊張しながら湯に足をつけた。  ここは知る人ぞ知る秘湯で、入湯するにはきちんと作法を守らなければいけない。  湯に入る前に体を洗うなんて当たり前、それ以外にも無数に作法が存在する。  それらの作法を守らないと...
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