またマネキンがやって来た。
どうやら勤めていたデパートが潰れて廃棄処分になりそうなところを逃げてきたらしい。
最初マネキンがやって来た時には驚いたが、もう慣れっこだ。
私は最初、マネキンを画家に斡旋した。
言った通りのポーズを一人でに取ってくれるからと画家は喜んだ。
しかし、その画家もそんなにたくさんは引き取れないとこの前連絡をよこしていた。
私はマネキンに「かかしなんかどうかな?」と提案した。
しかしマネキンは首を横に振って、屋根のあるところがいい、と意思表示をした。
うーむ、そう言われてもなぁ。
そんな風に悩んでいた時、私の元に大量の注文がかかった。
注文を入れてきたのは怪しげな男だった。
引き取り先は宿泊所も完備しているらしい。
男の話を聞いて、なるほど、と思った。
今、さまざまなところで聞かれる怪談話のいくつかは、どうやらマネキンの仕業のようである。
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