おじいちゃんとおばあちゃんの家に親戚のみんなで集まった時、メロン農家をやっている昇一お兄ちゃんがどっさりメロンを持ってきてくれた。
私を含めた子供たちはみんな喜んでそのメロンを食べた。
冷たくて美味しいメロンに舌鼓を打っていると、昇一お兄ちゃんがこんなことを言った。
「みんな知ってるかい。メロンには大当たりがあるんだ」
私はメロンに夢中だったので答えませんでしたが、克俊おじさんとこのようちゃんが答えました。
「えー、大当たりって、どんな?」
「それは秘密。でも見分ける方法を教えてあげるから見つけてごらん」
昇一お兄ちゃんはそう言ってメロンを一つ手にとった。
「方法は単純だ。メロンには網目状の模様があるだろう。この模様をメロンの頭頂、つまり一番上からたどっていくんだ。その結果、くるりと模様を一周できたメロンが大当たりだ。ただし滅多に無いけどね。メロンは皮を食べないから水性のペンなんかで試してごらん」
昇一お兄ちゃんからそんな話を聞いた子供たちはみんなで競い合うようにメロンの模様をペンでたどり始めた。
しかしみんなすぐに飽きてしまう。
だが私はこういうことには結構しつこい性格なので、みんなが飽きてからもずっと大当たりメロン探しをやり続けた。
夜中。
親戚のみんなが大人も子供もみんな寝静まった後も私は大当たりメロンを求めて網目模様をペンで追っていた。
そして……。
「やった!」
私は思わず一人でそんな歓声を上げた。
ペンでたどった模様がスタート地点からくるりとメロンを一周して、最後まで綺麗に一本線で結ばれた。
これが大当たりメロンなのだ。
と、その瞬間、大当たりメロンの中から光が漏れた。そしてメロンが一人でにパカリと割れた。
「え……?」
割れたメロンの中から出てきたのは、なんと……メロンだった。
大当たりメロンよりもちょっと小ぶりなメロン。
「あたりが出たらもう一個……」
私は思わずそうつぶやいた。
翌朝。
みんなで朝ごはんを食べていると、昇一お兄ちゃんが私に「みっこちゃん、もういいのかい?」と聞いた。
「うん」
その短い答えで私が大当たりメロンを見つけたことを悟ったらしく、昇一お兄ちゃんはにやりと笑った。
隣に座っていたようちゃんが「もしかしてみっこちゃん、当たり見つけたの?」と大声で聞く。
「うん」
「うそー!」
「ほんと」
「大当たりのメロンってどんなだった!?」
「……教えない」
「ケチ!」
「ちゃんと自分で見つけなきゃダメだよ。大当たりメロン探しは他のメロンと違って甘くないんだから」
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