新しいキャリーケースを買った。
このキャリーケースはしつけることができる。
よくしつけると、勝手に自分の後をついてきてくれるのだ。
私はキャリーケースをどこに行くにも一緒に持っていって、ちゃんと自分についてくるようにしつけた。
そんなある日、私はとんでもないことをしてしまった。
海外旅行の旅先にキャリーケースを置いてきてしまったのである!
「待て」と言って待たせたまま、海外から帰ってきてしまったのだ。
自分で運ばなくて済むようになり、手ぶらで移動する癖がついてしまったので、キャリーケースがいないことに気づかなかったのである。
どうしよう……!
と、その時見知らぬ番号から電話がかかってきた。
もしや、と思い出てみると、電話をくれたのは漁師さんだった。
漁師さんが言った。
「あんたの電話番号が書いてあったから電話したんだけどね。このキャリーケース、どうやら海を泳いで帰ってきたらしいよ」
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