川柳見合い

ショートショート作品
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 友だちと一緒に、変わったイベントに参加した。

「川柳お見合い」というものである。

 私自身は特に相手が欲しいというわけじゃないのだけれど、友だちの付き添いという形だ。

 なんでも、このお見合いでは決められた場所で川柳を作り、似た感覚の人とマッチングしてくれるらしい。

 コンセプトは面白いなぁなんて思いながら、私は会場となった古い日本家屋の庭で川柳を作ることにした。

 しかし……う〜ん、何も浮かばないな。まぁ適当でいいかぁ。

 一時間の創作時間が終わり、いよいよマッチングの時間となった。

 友だちは見事マッチングしていた。

「やった!」

 はしゃぐ友だちに「良かったね」と声をかけていると、なんと私もマッチングしているという。

 え!? あんな適当な川柳なのに……。

 このイベントでは、相手の川柳を見てから実際に会うかどうかを決めることができる。

 私は相手の川柳を見て、思わず笑ってしまった。

 一度くらい、会ってみてもいいかもしれない。

 相手はこんな川柳を作っていた。

『庭見ても 何も浮かばぬ 帰りたい』

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