うちの学校には人体模型にまつわる七不思議がある。
なんと理科準備室の人体模型が夜中になるとこっそり動くというのだ。
僕はその噂を確かめるために夜中にこっそり学校に侵入してみることにした。
見回りの警備員さんに見つからないように校内を移動する。
と、理科準備室の前まで来たところで、僕はもう少しで叫びそうになった。
なんと人体模型がスタスタと歩いているのである。
噂は本当だった……!
人体模型はどこかに向かっているようである。
僕は人体模型のあとをつけてみることにした。
一体どこに行くのだろうか。
人体模型は学校の敷地を出て、歩き続けた。
そしてやがて町内にある体育館までやってきた。
体育館の中から、何やらたくさんの人の気配がする。
人体模型はその中に入っていった。
僕はこっそりと扉から中を覗いた。
すると体育館の中に、たくさんの人体模型が集まっていた。
体育館がいっぱいになるくらいである。
そして何体かの人体模型が体育館の奥にある高いスペースに立ち、何やらポーズを取っている。
「良い内臓だよ!」
「まるで動いているみたいな心臓だ!」
どこかからそんな声が聞こえた。
なるほど、これは人体模型界のボディビルみたいなものか……。
僕はその後もボディビルの大会を見守った。
僕の学校の人体模型は惜しくも優勝を逃し、準優勝だった。
翌日。
朝早く学校に向かった僕は、理科準備室に行った。
そしてそこにいつも通り立っている人体模型に「昨日、素敵だったよ」と声をかけた。
僕がそれだけ言って理科準備室から出ようとすると、人体模型が一瞬ポーズを取ったような気がした。
そう見えただけで気のせいかもしれない、なんて思いながら僕は教室に向かった。
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