私は自分がメデューサだと思っている。
なぜなら、私が見つめると人がよく固まるからだ。
だから、あまり人と長時間目を合わせないようにしている。
会社の先輩である桐野さんは、二人きりの食事のあとにこう言った。
「僕なら大丈夫だよ」
「ダメです」
私は必死に抵抗したのだけれど、無理やり目を合わせられてしまった。
私が見つめてしまっても、彼は固まらなかった。
うかつだった。
自分もメデューサなのだとしたら、他にもいると考えるべきだった。
新米メデューサである私は、今では彼のコレクションの一つになっている。
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