小狐

ショートショート作品

ドアノブの邂逅

 僕は私立探偵、小狸信史。  なんとなく道を歩いていたら、ドアノブを拾った。  なんでドアノブなんて落ちていたのかなぁなんて思いながら歩いていると、前を歩いていた会社員らしきスーツを着たお兄さんにぶつかってしまった。 ...
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猫沼

 我が家の猫はどうやら"沼"らしい。  この子はもらってきた子猫なのだが、可愛いなと思い撫でていたら、離れられなくなった。  これが数分や一時間程度ならよくあることである。  しかし私はかれこれ二十四時間以上も猫を...
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風化寺

 四月のある日、私はネックレスを持ってお寺にやって来た。  このお寺では、その人にまつわる品物を持っていくと、その人に関する思い出を風化させてくれるらしい。  人間だけではなく、ペットなどでも可能なのだそうだ。  ...
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僕の部屋の秘密

 朝起きて洗面所に行くと、狸が丸まって寝ていた。 「おい、しゃんとしてくれ!」  僕がそう言うと、狸が「あぁ、すんまへぇん」という感じでカミソリに戻った。  まったくもう。  僕はふぅとため息をついて髭を剃...
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記憶喪失ファッションショー

 私は患者の男性を施設に招き入れた。  男性はおよそ病院には見えないここを不思議そうな目で見ている。  ここに来た患者はみんなそんな顔をする。 「ではさっそく始めましょうか」  私は男性に語りかけた。 ...
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ドレスコードのある町

 僕はため息をつきながら受話器を置いた。 「はぁ〜」  隣の席の高橋先輩が僕の方を見て言う。 「今日はなんだって?」 「和服、らしいです」  僕が今電話をかけていたのは、佐藤さんという女性のお宅だっ...
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風流小説

 昔、おばあちゃんがよく窓際で何かを聞いていた。 「何を聞いているの?」  私がそう尋ねると、おばあちゃんは言った。 「風流小説だよ。ほら、ここから聞こえるの」  おばあちゃんは新聞紙で作ったらしいスピーカ...
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天職弓

 気がつけば大学生活も後半。いよいよ進路を決めなければならない。  だけど、僕は自分が何をしたらいいのか分からなかった。  そんな時「天職弓」の話を聞いた。  なんでも、自分の天職を当ててくれる弓らしい。 ...
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妖怪限界集落

 ある日、山の奥深くを歩いていると、たたたっと子供が目の前を通り過ぎた。  なんでこんなところに子供が、と思っていると、いつの間にか目の前に村が出現していた。  ありゃ、これはなんだ。  恐る恐る村に入ってみると、...
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流星の予約

 友達と一緒にキャンプに行った時、僕は面白いビジネスアイデアを思いついた。  夕食のバーベキューを食べ終わって、みんなで夜空を見上げている時に流れ星が流れた。  願い事を言おうとしたが、速すぎて間に合わない。 「あ...
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