ショートショート作品 師範の話
友達の莉子と一緒に柔道の道場に通うことになった。
運動不足だし、護身術にもなるかも、なんて軽い気持ちで始めたのだが、これが中々どうして、私は柔道にすっかりハマってしまった。
一ヶ月だけ通うつもりだったけど、三ヶ月コー...
ショートショート作品
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ショートショート作品 向こう水（すい）
僕はあるお寺にやって来た。
ここには「向こう水」という神水があるらしい。
なんでもその水をかけてもらうと思い切りがよくなるというのだ。
何事にも慎重に行動しすぎる僕は、そんな自分を変えたくて向こう水を住職に...
ショートショート作品 切り捨て侍
あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ。
やらなきゃいけないことが溜まっている。
「あー！」
私はいつもやるべきことを溜めてしまう。
大事なことはもちろん、どうでもいいことまで抱えてしまうのだ。
...
ショートショート作品 サーチエンジンカー
ある日、歩いていると目の前を車が猛スピードで通り過ぎた。
危ないなぁ。だけど、デザインはかっこよかったな。
そうだ！
僕は先ほど見た車のデザインを思い出した。
よし、あのデザインでいこう！
...
ショートショート作品 月射病
月射病というものがあるらしい。
月明かりの下を歩くと何故か団子が食べたくなるそうだ。
月見をする文化のある日本人ならではの病気らしい。
夜に団子を食べ過ぎると太る、というのでみんな月明かりを避けるようになっ...
ショートショート作品 祭りからの逃亡
小説家をしている私はアイデアを考える為に散歩に出た。
すでに夕闇の頃で、私は一人うつむき加減でうなりながら歩く。
すると「さぁ！ さぁ！」という威勢のいい声が聞こえてきた。
なんだ？ と顔を上げるといつの間...
ショートショート作品 時の止まった押し入れ
不動産屋さんが物件を紹介してくれたのだが、その時の文言が気になった。
「あなたは最適なようなので」
そんなことを言ったのだ。
「この物件の家賃や共益費、光熱費はすべて無料です」
「ただ！？」
...
ショートショート作品 擦りむき防止クリーム
「よし、でかけるか」
僕は玄関でいつものクリームを塗った。
僕は昔から転びやすい。
小学生の頃なんていつも転んで膝を擦りむいていた。
そんな僕に母がクリームを買ってきてくれた。
それは擦り...
ショートショート作品 本棚トイレ
面白いものを買った。
本を流せるトイレである。
私は本を大量に読むのだが、いつも本の処理に困っていた。
本というものは結構場所を取るのだ。売るのも面倒だし。
このトイレに本を流すと、そのまま再生紙...
ショートショート作品 ブルペン湿布
私は整形外科の医師をしている。
最近、特に疲れがたまっている。
肩が痛い。
湿布を取り出して肩に貼った。
最近評判の「ブルペン湿布」である。
あぁ、気持ちがいい……。
じんわり...