月射病というものがあるらしい。
月明かりの下を歩くと何故か団子が食べたくなるそうだ。
月見をする文化のある日本人ならではの病気らしい。
夜に団子を食べ過ぎると太る、というのでみんな月明かりを避けるようになった。
ふん、バカバカしい。
俺は気にせず月明かりの中を歩いた。
夜遅く、24時間やっているスーパーの店内に入る。
団子のコーナーが所狭しと並んでいる。
ふん、くだらない。俺は団子なんかには惹かれない。
団子なんかより、男なら肉を食わなくちゃ。
俺はカゴいっぱいに肉を入れてレジに向かった。
会計中、店員がやけにこちらを見ている気がしたので唸った。
はっとする。
グルルルという唸り声。
これは俺の出した声なのだろうか。
どこか狼のもののようであったが……。
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