ショートショート作品

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買い替えアプリ

 私は今大いに悩んでいた。  古くなったパソコンを買い替えるかどうかである。  もうすっかり動作が遅くなっているのだが、でも替えるとなると費用もかかるし。 「あ〜あ」  なんて私が一人ため息をついていると、...
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水流小説

 私が作っている「水流小説」が売れている。  私は元々、ただの和紙を作っていた。  近くを流れる川の水を使った和紙である。  しかしある時から、作った和紙に文字が浮かぶようになった。  文字を読んでみると、...
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丸視え症候群

 会社がお休みの日。  ソファの上でダラダラ寝転がっていると、呼び鈴が鳴った。 「はーい」  間延びした返事をしながらのぞき穴を覗く。  と、そこに宅配業者の制服を着たおじいさんが立っていた。  配...
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鳩のおじ様

「凶出ろ、凶出ろ……!」  私はそう強く念じながらおみくじを引いた。  今から十五年前。  まだ子供だった私は山で遊んでいた時に一人のおじさんに出会った。  おじさんは山の向こうが見える場所に座ってい...
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神社までの橋

 私の住む町は海沿いにある。  そしてこの町にはある有名な神社がある。  その神社は海岸からほど近い場所にある小島にあって、海岸から島までは橋がかけられており、参拝客は歩いてその神社に行くことができる。  私はその...
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読書による視点

 小さい頃、読書好きで四六時中本を読んでいるおじさんに、 「どうして本を読むの?」 と聞いてみたことがある。  するとおじさんはこう答えた。 「面白いからだよ。あとは、そうだな。視点が高くなる気がするからか...
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コゲの鈴

 中学生くらいの頃から「どこどこでキミを見たよ」と言われることが増えた。  塀の上にいた。  家と家の隙間に立っていてびっくりした。  屋根の上にいて驚いた。  などなど。  一体どういうことだろう...
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死なない男、ジャック

 ジャックという男がいた。  彼は特異体質だった。  このジャックという男、死なないのである。  焼こうが切り刻まれようが、絶対に生き返るのだ。  彼はその特異体質について公言し、自分の体を様々な分野で役立...
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絶縁まんじゅう

 お引越しの前日、お父さんがお母さんに「絶縁まんじゅう買った?」と聞きました。  お母さんは「うん」と答えて荷造りを続けます。  絶縁まんじゅうってなんだろうと思い、調べてみると"絶縁"とは縁を切るという意味の言葉でした。...
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風の指揮者

 夜の山に観客が集まってきた。  ここにはオーケストラのステージが設置されている。  観客は皆、厚着をしていた。  これからこの野外ステージでコンサートが行われるのだ。  僕は集まってくれた観客に挨拶をして...
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