ショートショート作品

強盗目薬

 人目を盗むなんて言葉があるが、ある男が人の視線を盗む目薬を発明した。  目薬をさしてから人と目を合わせると、その人は目線をそらせなくなる。  男はその性質を利用して、目が合った人を催眠術にかけ、違法な物品を売りまくった。...
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屋根落ちだるま

 一人旅に行った時、おかしな村に長く滞在した。  どことなく不思議な雰囲気の村で、その雰囲気が気に入った私は、気のすむまでその村で過ごそうと思ったのである。  その村には雪が降っていた。  そんなところも私は気に入...
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小夜ちゃん

 私がまだ小学校に通っていた頃、金曜日に先生が「月曜日に転校生が来る」と言った。  どんな子が来るのだろう、と私はワクワクした。  翌日の土曜日、私は近所にある山の中で遊んでいた。  と、木々の生い茂った少し奥まっ...
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地ワイン

 彼と一緒に食事をしに行った時、彼がワインを頼んだ。 「美味しいね」 と私が言うと、彼が言った。 「これは地ワインというもので、他のワインとはまるで違うんだ。コルクを畑に埋めて作るワインでね、その土地に寒暖差がある...
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真珠磨きの貝

 珍しい店があると聞いてやってきた。  その店は「真珠磨きの貝」というものを置いていた。  貝が、傷ついた宝石を磨いてくれるそうなのだ。  貝に宝石を入れると、ピカピカの宝石に生まれ変わる。  私は持ってい...
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カンカンやかん

 一人暮らしをしている友だちに「面白いものを手に入れたから部屋に来いよ」と呼ばれた。  友だちの部屋に行ってみると、彼はやかんを手に取りながら言った。 「これはカンカンやかんって言うんだ。不思議なやかんでな、幽霊や妖怪がや...
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嘘鳴りの音叉

 かつて警察の捜査に音叉が使われていた。  音叉とは、楽器の音合わせなどに使われるU字型の器具である。  その音叉は主に取り調べで用いられた。  被疑者が嘘をつくと、微量の音が音叉から発せられるのだ。  こ...
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いらない才能

 私はなぜか人から避けられる。  何もしていないのに、自然と人が離れていってしまうのだ。  どうしてか理由を聞いても、特に理由はないのだという。  何故か避けてしまうそうなのだ。  こんな有様じゃ仕事もでき...
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出会いのシャッターチャンス

 子供が「パパー、この写真何?」と一枚の写真を持ってきた。  家族で大掃除をしていて、私は写真の整理をしていたのだ。  子供の持ってきた写真を見ると、こちらにカメラを向けた女性が写っていた。 「あぁ、これはね」 ...
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おかしな電子レンジ

 新しく電子レンジを買った。  電子レンジで色々なものを温めたが、何かおかしい。  違和感を覚えつつ、僕は電子レンジを使い続けた。  しかしたこ焼きを温めた時に、疑惑は確信に変わった。  なんと温めたたこ焼...
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