ショートショート作品

決心の板

 僕は何事にも迷いがちな性格をしている。  とにかく何を決めるにも迷ってしまうのだ。  ある日、僕は「決心の板」というものがあると噂を耳にした。  その板に寝そべると、何故かすぐに決心がつくそうだ。  僕は...
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涙のお医者さん

 あるところに女性の医者がいた。  彼女は「涙の医者」と呼ばれている。  患者の涙を採取して涙の成分を調べることで、患者が何に苦しみ、何に悲しんでいるかを知ることができるのだ。  彼女の元にはたくさんの患者がやって...
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腹話術師の受難

 ものすごく腹話術が上手な腹話術師がいた。  口を全然動かしていないのに、どうやって人形をしゃべらせているのか、と人々の間で話題になった。  確かに腹話術師は口を全然動かさずに人形にしゃべらせる。  これにはある秘...
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審判の砂浜

「審判の砂浜」というものがある国にやってきた。  その砂浜を歩くと、嘘をついている人間の足跡が黒くなるのだ。  その国ではかつて、罪を犯した疑いのある人間に砂浜を歩かせていたらしい。  罪人の足跡は黒く染まるという...
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帰巣本能がお金持ちの秘訣

 お金持ちの知り合いに、なぜそんなにお金持ちなのかと聞いてみた。  すると知り合いはこんなことを言った。 「お金の帰巣本能を刺激するんだ」 「え?」 「鳥がどんなに遠くに行っても必ず巣に帰ってこられるのは、...
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無人島のルーレット

 あれはまだ僕が学生だった頃。  僕は一人で東南アジアに旅行に行った。  旅行先で知り合った男と二人で小型船を借りて当てもない航海をした。  男の操縦する小型船が大きな岩に乗り上げ難破し、僕たちは何もない海で遭難し...
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ささやき鍋

 鍋好きな私は、いつも美味しい鍋を求めて情報収集をしている。  変わった鍋の噂を聞いた。  さっそく予約しようとしたのだが、どうやら一人では予約できないらしい。  最低三人からでないと予約できないそうだ。 ...
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爪弾きの糸

 コヤギ博士がまた新しい発明をしたというので、私は研究所までやってきた。  コヤギ博士がおかしな形状の糸を持ちながら言う。 「これは世にも面白い糸なんだ。こうして爪で弾くとな」  そう言いながら博士が糸を弾くと、な...
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感涙の奏者

 ある奏者が話題になっている。 「感涙の奏者」と呼ばれている彼の演奏を聞くと、必ず泣いてしまうらしい。  彼が吹く楽器は、なんとリコーダーなのだとか。  興味を持った私はチケットをなんとか取ってコンサートに行ってみ...
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掘るシャン

 庭掃除をしていると、地面からじわじわと何かが滲み出てきた。  なんだろう、この白い液体。  ん〜?  あ!  突然その白い液体が泡立ち始めた。  孫娘がやってきて言った。 「それ、シャンプ...
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