爪弾きの糸

ショートショート作品
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 コヤギ博士がまた新しい発明をしたというので、私は研究所までやってきた。

 コヤギ博士がおかしな形状の糸を持ちながら言う。

「これは世にも面白い糸なんだ。こうして爪で弾くとな」

 そう言いながら博士が糸を弾くと、なんと糸から琴のような音が聞こえた。

 さらに博士が糸を弾くと、今度はバイオリンの音が。

「面白いですね!」

 私は素直な感想を言って、自分も糸を触らせてもらった。

 と、私や博士が糸を弾いていないのに、研究所の奥からカントリー調の音楽が聞こえてきた。

 癒やされる音楽だなぁと聴き入っていると、音楽が急に途切れた。

 コヤギ博士が笑いながら言う。

「実は最近、捨て猫を拾ってね」

「猫?」

「あぁ。その猫用に、この糸と同じ材質のもので爪とぎを作ったんだよ」

 ははぁ、なるほど。

 それで音楽が突然途切れたのか。

「あっ」

 コヤギ博士が慌てたように言った。

「君、耳を塞ぎなさい!」

「え?」

「実はね、金属のポールに糸を巻き付けて作った爪とぎもあって」

 博士がそう言った瞬間、研究所内に爆音でデスメタルが……。

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