決心の板

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 僕は何事にも迷いがちな性格をしている。

 とにかく何を決めるにも迷ってしまうのだ。

 ある日、僕は「決心の板」というものがあると噂を耳にした。

 その板に寝そべると、何故かすぐに決心がつくそうだ。

 僕はその板がある店にやってきた。

 転職するべきかどうか迷っているので、決心をしたいのだ。

 店には簡易的な受付があるだけで、あとは薄暗い部屋があり、そこに通された。

 部屋にただの板にしか見えないものが置いてある。

 薄暗い部屋で板に寝そべった。

 すると突然、転職をしよう! と決心することができた。

 僕は意気揚々と店を出た。

 転職がうまくいくかどうかは分からない。

 しかし、決心がついたことが嬉しいのだ。

 それにしても、こんなにいいものなのに、あの店には客が全然いなかったな。

 色々なことに迷っている人は多いだろうに。

 僕は気になって店のことを調べてみることにした。

 すると、恐るべき噂に行き着いた。

 あの店にある板は、曰く付きの板らしい。

 その昔、死刑に使われていたものだそうだ。

 だからあそこに寝そべると、決死の覚悟で決断をすることができるのだという。

 よく思い返せば、あれはまな板に見えないでもなかった。

 死刑というのは、どのように行われていたものなのだろうか……。

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