最近、ゲリラ豪雨ならぬ「ゲリラ合コン」なる現象が起きているらしい。
町を歩いていると、いきなりその場から動けなくなり、近くにいる人と合コンが始まってしまうそうだ。
どうやら出会いを求めている若い男女に多く起こる現象らしい。
ゲリラ合コンは特に人が多くいる都市部の、それも若者が多い町で起こるのだとか。
そしてそのゲリラ合コンの結果、わりとカップルが成立しているらしい。
ゲリラ合コンで出会い、そのまま結婚する”天災婚”なんて言葉も生まれた。
とはいえ、私は別に恋人なんて欲しくないから、ゲリラ合コンに見舞われることもないだろう。
そんなことを考えながら町を歩いていると、いきなり動けなくなった。
ま、まさかこれは?
近くにいた三人の男性と二人の女の子と目が合う。
この六人で、合コンを……?
「とりあえず……自己紹介でもしましょうか」
男の子の一人がそう言って、自己紹介を始める。
順番になんとなく自己紹介をして、その後、特にすることがなくなってしまう。
合コンなんて行ったことないし、一体何をすればいいのか……。
「ねぇ、合コンって、何するの?」
一人の女の子がそう発言すると、おかしなノリの男の子が言った。
「飲ーんで、飲ーんで、飲んで! ……みたいな?」
沈黙。
「いやいや、酒なんてないでしょ」
男の子の一人がフォローする。
私はそこでひらめくものがあり、バックに入れておいた水筒を取り出した。
そして「おらぁ!」と掛け声をして水筒の中の麦茶を一気飲みした。
一拍遅れて、笑いが起こる。
ノリの良い女の子の一人が手に持っていたカフェラテを一気飲みしてくれた。
おかげで場は一気に和み、みんなで普通に会話を楽しんだのである。
しばらくしてゲリラ合コンは終了した。
そっか、合コンって言ったって、別に恋愛対象を見つけようと気負わないで、ただ楽しめばいいのかも。
私は、その時一緒にゲリラ合コンに参加した女の子二人と、とても仲良くなり、今度一緒に旅行に行くことになったのである。
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