軟派な写真の中の僕

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 僕が自分のおかしな体質に気づいたのは高校生の頃だ。

 高校の体育祭の次の日、女子から「岡くんにナンパされる夢を見た」と言われたのである。

 そして別の女子からも同じ夢を見た、と。

 僕はそれではっとあることに気がついた。

 昨日の体育祭で、僕はこの女子二人と写真を撮った。

 そういうことだったのか、と僕は今までの人生を振り返った。

 小学生の頃にも似たようなことを言われたのだ。

 僕は全然そんなことを言っていないし思ってすらいないのに、突然同じクラスの女の子から「好きって言われた」と報告を受けたのだ。

 もしかしたら知らないうちにその子と写真を撮っていたのではないか。

 どうやら写真の中の僕は軟派な男らしい。

 小学校や中学校で、なんとなく女子から距離を感じたり、思いがけない子から急に好意を寄せられたりしたのは多分その性質のせいだろう。

 小学校や中学校では、新しいクラスになってすぐに集合写真を撮るからだ。

 初めて会った男子からいきなり告白されたりナンパされたりする夢を見たら、良い気がしない子も多いだろう。

 高校では集合写真を撮らなかったから、女子と普通に接することができたのだな。

 と、すると、数カ月後に控えている修学旅行はやばいかもしれない。おそらくたくさん写真を撮るだろうから。

 そして事実、そうなった。

 だがそのおかげで人生初の彼女ができたりしたので、まぁ、良かったのかもしれない。

 それにしても、なんて変な体質なんだ。

 しかしそんな体質も、大学に入ったら気にならなくなった。

 気をつけていれば、女子と一緒に写真を撮ることなんて、そうそうない。

 社会人になれば、きっともっとその機会は減るだろう。

 そう思いながら、大学三年生になった僕は就職活動にのぞんだ。

 しかし、ここでもおかしなことが起こった。

 面接やグループディスカッションで一緒になった初対面の女性から、いぶかしむような目線を向けられたのだ。

 まさか……と僕は思った。

 面接やグループディスカッションを行う前に提出している、履歴書の写真が悪さをしているのでは。

 履歴書に貼り付けた自分の写真が、揃えて置いてある女性の履歴書の写真をナンパしている様子を思い浮かべ、僕は頭を抱えた。

 一緒に映らなくてもナンパをしてしまうなんて……!

 結果、グループディスカッションでなんとなく遠巻きにされてしまった僕は、まともに話し合いに参加できなかった。

 あぁ、第一志望だったのに、これじゃダメだな……。

 しかしそんな僕の予想に反して、その会社から内定をもらうことができたのである。

 絶対にダメだと思っていた僕は、内定の連絡をくれた人に理由を聞いてみた。

 するとこんな答えが返ってきた。

「いやぁ、君から会社への熱烈ラブコールをもらう夢を見てね。この子ならきっと会社を好きになってくれる、そう思って内定を出すことにしたんだよ」

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