海のホスト

ショートショート作品
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 私は取材で海際に建つ家にやってきた。

 ここには「海のホスト」がいる。

 彼はにこっと笑いながら言った。

「何故か魚に好かれてしまうんですよ」

 なんでも、彼はただ普通に泳ぐだけで魚に好かれてしまい、魚が追ってくるらしい。

「じゃあ、さっそくやってみせます」

 彼が海に飛び込む。

 すると、わらわらと魚が集まってきた。

「餌なんてつけてないんですよ」

 彼が海から顔を出して笑った。

「こうして寄ってきてくれるとかわいそうって思っちゃうんですが、漁をしています。僕が海に入ればそれだけで大量に穫れるので……」

 私は彼と一緒に家まで戻った。

 取材を続ける。

「イケメンですから、女性にもモテるんじゃないですか?」

「いえいえ。それに結婚していますので」

 私はちょっとがっくり来ながら取材を終えた。

 帰ろうと思って荷物をまとめだしたのだが、先ほどからお手洗いを我慢しており、このままだと駅までもちそうない。

 私は「申し訳ありませんが、お手洗いをお借りしてもいいでしょうか」と彼に言った。

「あ、奥に行って左です」

「ありがとうございます」

 私は教えられた場所まで行って扉を開けた。

 すると、そこはお風呂場で、女性が湯船につかっているのを見てしまった。

「す、すみません!!!」

 私は大慌てで扉を締め、その隣りにあったお手洗いに入った。

 さっきのは奥さんだろうか。

 しかし、気のせいか、尾ひれがあった気がするのだが……。

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