ある日、僕は大学を休んでぼーっと部屋で寝転んでいた。
何もやる気が起きない。
と、その時、部屋の外の道から威勢のいい声が聞こえてきた。
なんだ、と思い窓を開けて見ると、山車が通っていた。
え、今日お祭りだっけ?
山車を見ていると、山車を担いでいる上半身ハダカではちまきをしたオヤジさんが僕の方を見て
「乗りなよお兄ちゃん!」と言った。
「え、乗るって?」
「これは、やる気山車っていうんだ! やる気のない人を元気にするために走ってんだよ。そうすりゃ日本も元気になるだろー?」
オヤジさんや他の担ぎ手に誘われるまま、僕は山車の上に乗った。
目線がぐんと高くなり、思わず「わぁ!」と悲鳴をあげてしまう。
僕は山車の上で、町の人から「いいぞー、兄ちゃん!」と声援を受けた。
なんだかやる気がめらめらと湧いてくる。
そうか、僕のやりたいことが分かったぞ……!
山車に乗ったまま町内を一周した僕は、その日からすぐに行動を開始した。
***
「そろそろいくべ、たっくん」
「はい!」
僕は上着を脱いではちまきを締めた。
かつての僕のような人を励ましたい。それが僕のやりたいことだった。
だから僕は今日も山車を担ぐーー
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