エジソンティー

ショートショート作品
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 僕は友だちと一緒にコヤギ博士の研究所に遊びにやってきた。

 コヤギ博士は僕たちが話しかけてもただぼーっとしていた。

 こりゃ今日はダメかなと思っていたら、コヤギ博士がぽわっとあくびをした。

 それからコヤギ博士は「ひらめいた!」と叫び、パソコンに何やらカタカタと書き込んでいた。

 それが終わると、コヤギ博士は初めて僕たちに気がついた様子で言った。

「エジソンティーを飲んでいたんだよ。これを飲むとな、しばらくぼんやりしていまうんだが、あくびが出た瞬間にひらめきが爆発するんだよ」

 僕と友達は「おもしろーい!」とはしゃいだ。

「よしよし。じゃあ少しエジソンティーを分けてあげよう。ただし、悪用はしないこと」

「悪用って?」

「学校のテストに使ったりしちゃダメだってことだ」

 僕は迷っていた。今日は苦手な社会のテストがある。

 エジソンティーを飲んでしまおうか。

 いや、やっぱりやめとこう。コヤギ博士と約束したんだし。

 テストが始まったので僕は一生懸命問題を解いた。

 と、昨日コヤギ博士の研究所に一緒に行った友達を見ると、彼は問題を解かずにぼーっとしていた。

 僕はすぐにピンときた。

 エジソンティーを飲んだな!

 ずるいなぁと思いながら僕は自分のテストに集中した。

 テストの終了時間が近づいて、僕は自分の解答用紙を見直した。

 分からない問題も多かったけど、なんとか埋められるところは埋めた。

 ちらりと友達の方を見ると、なんと彼はまだぼーっとしていた。

 そして終了のチャイムが鳴る寸前にあくびをした。

 彼が急いで問題を解こうと鉛筆を持った瞬間、終了のチャイムが鳴った。

「やっぱりずるはダメだねぇ」

 友達はそんなことを言っていた。

 さっきあくびをしたからかもしれないけれど、彼の目には涙が溜まっているように見えた。

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