ある奇妙な島から

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 ある日、突然おかしな島が出現した。

 三角形の形をした島である。

 突然現れたその島をどこの国の領土にするのか話し合いが行われたが、すぐに取りやめになった。

 不思議なことに、なぜかみんなその島にゴミを捨ててしまうのだ。

 三角形の島の存在を考えると自然とゴミをそこに捨てたくなる。

 すぐに島はゴミでいっぱいになり、誰もその島の領土権を主張しなくなった。

 まるでその三角形の島は台所にある三角コーナーのようである。

 僕はその三角形の島に捨てられた一人だった。

 さすがに人間で捨てられたのは僕くらいのようである。

 僕は日々島に捨てられる生ゴミなんかを食べて生きた。

 ある日、起きると島から見える海岸線が歪んでいた。

 一直線のはずの海岸線がぐらぐらと揺れているのだ。

 とうとう目にガタが来たのかと思ったが、どうも違う。

 島全体が大きく揺れているのだ。

 そして、次の瞬間、島全体が空に浮き上がっていた。

 僕は大きく揺れる地面にバランスを崩し、頭を岩に打ち付けて気を失った。

 目が覚めると、そこは暗闇の世界だった。

 なんだ、ここは……?

 次第に闇に慣れてきた目で見ると、目の前に山のような何かが見えた。

 僕は這うようにして山を登った。それは瓦礫の山だった。

 山の頂上までやってくると遠くに一筋の光が見えた。

 見える光に向かって歩く。

 光の元にたどり着いた僕は、その隙間から顔を出した。

 大抵のことにはもはや驚かなくなっていた僕だったが、さすがに驚いた。

 そこには巨大なキッチンがあったのである。

 およそ普通の人間では使うこともままならないような大きさのキッチン。

 なんだ、ここは……?

 そこで僕はハッと気がついた。

 今、僕がいるここ。

 ここはもしやゴミ箱の中なのではないか。

 あの三角コーナーのような島に僕は捨てられ、そしてその中身がここに……。

 ずしん、と地鳴りのような音をさせながら巨大な人間のようなものが歩いてきた。

 山のような大きさの人間が台所に立っている。

 このゴミ箱にはあの三角コーナーの島に捨てられたゴミが集められている。

 もしかしたら地球だけではなく、他の星からも。

 だとしたら、今僕の目の前にいるこの巨大な人間は、もしや神のような存在なのだろうか。

 巨大な人間が水道から水を出して何やら洗い物を始めた。

 不思議と絶望感はなかった。

 あの島に捨てられた時に比べれば、今の方が気分がいい。

 この誰も見たことのない世界で、僕は必ず生き残ってやる。

 巨大な人間が洗い物を終えて去っていく。

 僕は捨てられたゴミの中から、武器を探した。

 そして地球では見たことのない素材の針のようなものを持って、僕は外の世界へと飛び出した。

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