よく覚えている夢がある。
電車に乗っている夢だ。
夢なんてすぐに忘れてしまうのに、その夢はなぜかよく覚えている。
そんな電車に乗る夢を、起きている時に見た。
起きている、というべきか。
私は私の体から抜け出て、ふわふわと漂った。
私の周りに家族が集まっている。
電車がやってきた。
発車音が聞こえたので、家族に手を振ってお別れを言ってから電車に乗り込む。
電車にはたくさんの人が乗っていた。
電車はたくさんの駅に止まった。
時折乗りたがらない人がいたけれど、どうやら乗車を強制はしないようだ。
窓際の席で私は景色を眺めた。
見たことのあるような景色が次々に流れていく。
ふと気づく。
同じ車両に乗っている人の年齢が逆行していく。
そうだ。
この電車に乗って、このまま小さくなっていって、やがてまた新しい駅で降車するのだ。
その記憶を私は覚えていたのだ。
電車の音がゆりかごのようだ。
降りる駅に着くまで、私は少し眠ることにした。
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