小学校の頃、同じクラスに髪の長い女の子がいた。
その子はいつも赤いリボンで髪を結いていて、僕はよくそのリボンを取るイタズラをした。
女の子はリボンを解かれるたびに怒った。
それでも何度も何度もリボンを解いた。
彼女の気を引きたかったのだ。
ある日、僕がまたリボンを解くと、リボンがしゅるりと女の子の髪から離れた。
これまでは、ひっぱると固結びのようになって髪にリボンが残ったのに、今日はまるで手応えがなくて、しゅるりと抜けたのだ。
彼女は顔を真っ赤にした。
怒られる……!
そう思って僕は身構えたが、彼女は何も言わず、僕の手からリボンをひったくって教室を出ていった。
彼女は翌日、ショートヘアになっていた。
まさか、そんなに嫌だったなんて。
それから彼女は僕を避けるようになった。
彼女に完全に嫌われてしまったのだ。
しかし、それは思い違いだった。
彼女によると、あの赤いリボンは「許嫁リボン」というものだそうだ。
そのリボンを解くことができる人間が、許嫁になるのだという。
彼女は今、僕たちの娘にその赤いリボンを結いてやっているところだった。
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