お盆の季節に、送り火を焚いてご先祖様を送り出していた時のこと。
木の影から一人の女の子がこちらをじっと見つめていた。
どこの子だろう。近所にこんな子いたかな。
そんな風に思っていると、やがて女の子はいなくなってしまった。
あの子、どうしたんだろう。
なんだかその子のことがずっと気になっていて、お風呂に入った瞬間に「あ!」とあることに思い至った。
あの子……来年も来てくれるだろうか。
あれから一年の時が経った。
私は迎え火を焚いてご先祖様を迎え入れた。
後片付けをした後、私は仏壇に手を合わせてお父さんにあるお願いをした。
そして送り火を焚く頃になって、またあの女の子が来た。
お父さん、お願い……!
私がそう祈っていると、女の子がぱぁっと笑顔になった。
そして、こちらにたたた、と走り寄ってくる途中で女の子が消えた。
やっぱり。
あの子は、あの世への帰り方がわからなかったのだろう。
お父さんは警察官だったから迷子の扱いには慣れているだろうと思ったのだ。
今頃、空に向かって並んで歩いているのだろうか。
それとも、ちゃんとナスでできた牛に乗っているのかな。
空に向かって伸びる送り火の煙を見つめながら、私も昔よく手を繋いでもらったな、と少し泣いた。
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