ショートショート作品

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夫婦喧嘩に

 ある男がある施設を訪れた。  その施設では犬の調教が行われている。 「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言われるが、ここでは犬に夫婦喧嘩を食べさせる訓練を行っている。  夫婦喧嘩が始まると、口をモゴモゴさせて犬が喧嘩を食...
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宝玉の選別

 ある異国の話。  その国では代々王にふさわしいものをある特殊な方法で選んでいた。  世襲でもなく、投票による選別でもない。  王を選ぶ時に使う道具、それはシーソーであった。  シーソーの片側に、代々国に伝...
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財布の中

 インターネットで買い物をした際、クレジットカードの情報を求められ、僕は財布を開いた。  すると、お札を入れる方のスペースに、小さな紙が挟まっていた。  なんだろうな、と思いつつ、その時は急いでいたので、さして気にもせずに...
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謎の船たち

 ある日を境に、海の上でおかしな行動をとる船が増えた。  網のようなものを広げて、魚を獲るのか思いきや、海面をさっと撫でて、それだけで帰っていくのである。  一体あの船たちは何をやっているのか?  謎は深まるばかり...
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ドミノ洞穴

 僕らの町には、ある不思議な洞穴がある。  そこは「ドミノ洞穴」と呼ばれていて、洞穴の中に所狭しとドミノが並べられている。  そのドミノを倒すことなく洞穴の奥まで行くと、何かが起こる、ともっぱらの噂なのだけれど、未だそれを...
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ライター判定

 グループ面接に進んだ企業で、いきなり面接官にライターを手渡された。  火をつける、あのライターである。  なんだろう……これ。  私以外の二人の就活生もぽかんとしている。  面接官が言う。 「では...
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診断カメラ

 写真を撮るだけで体の悪いところを発見できるカメラが発明された。  そのカメラで写真を撮ると、悪い部分が赤く映し出される。  カメラは広く普及し、医師の負担が大幅に軽減された。  ある日、ある医者がこのカメラ...
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じいちゃんのチャーハン

 僕はじいちゃんのチャーハンが好きだ。  僕のうちは中華料理屋をやっていて、じいちゃんはよくチャーハンを作っていた。  僕が好きなのは、じいちゃんがばあちゃんと喧嘩した時に作るチャーハンだ。  じいちゃんは、ばあち...
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歩くおじさん

「こんにちは」  そう声をかけられて、私も「こんにちは」と挨拶を返す。  あのおじさんだ。  私が密かに気になっているおじさん。  スーツ姿のおじさんは、いつも歩いている。  そりゃあ道ですれ違うの...
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夢作家

 私は作家をしている。  私にはある特殊な能力がある。  その能力とは、夢でアイデアを得る能力である。  私がアイデアにつまると、いつも夢の中に誰かが現れる。  それが誰かは夢を見てみるまで分からない。 ...
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