ショートショート作品

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うろこ雲釣り

 ある日、私が釣りをしていると、頭上にうろこ雲が浮かんでいた。  本物の魚のうろこのように空にたなびく白い雲を見ていると、本当に空に巨大な魚でも泳いでいるんじゃないかという気持ちになってくる。  その日の釣果はゼロ。それな...
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物忘れパジャマ

 大学の大教室でため息をついていたら同じゼミの藍美が声をかけてくれた。 「どうしたの。目が死んでる」 「いやぁ、なんだか寝覚めが悪くて」 「ふぅん」 「私、いっつも朝、目が覚めると昨日あった嫌なことを思い出...
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結婚式のお守り

 夫と二人で準備を進めてきた結婚式がようやく終わった。  幼い頃に夢見ていた結婚式はただひらすら幸せなだけだったけれど、実際にやってみるとそれはそれは大変だった。  会場選びから招待状作り、余興の決定など。  やる...
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キャリアアップル

「それでは皆さんにはこれからキャリアアップルを植えていただきます」  新卒で入社した会社で人事部の田中さんに突然そんなことを言われた。  新人研修が終わって、これからいよいよ仮配属先での仕事が始まるぞ、という時期にである。...
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河川敷の女

 その日は天気の良い日で星もきれいに見えた。  俺はベランダに設置した天体望遠鏡を覗いてしばらく美しい星々に見惚れていたのだが、ふと視界の隅に何か映ったような気がして接眼レンズから目を離した。 「ん……?」  俺は...
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交差点の侵食

 僕の家は交差点の角に立っている。  川沿いを走る国道のT字路の一角が我が家なのだが、どうも僕はこの交差点に違和感を覚えている。  この交差点、僕がまだ幼い頃からずっとあるわけだけれど、どうも少しずつ大きくなってきている気...
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ウソ茸の効能

  私は小さな会社に勤めている。  その会社の面倒くさいところは、社内行事が結構多いところだ。  この秋も、社員旅行でキノコ狩りに行った。  ぶつくさ言いながら参加したわけだけれど、社員旅行というのは行ってしまうと...
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潮の雨が降る

 私はある島国の海際で古い書物を読んでいた。  その書物にはある不思議な記録が記されていた。  それは、船の乗組員が体験した「塩の雨」についての記録である。  書物の筆者はある船の乗組員だった。  その男は...
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席取りのサクラさん

 僕は会社の近くにある公園に先輩社員の三浦さんと一緒にやってきた。  昼食を食べるためでも、ましてやサボる為でもない。  れっきとした業務の一環……と三浦さんは言っている。 「さてと、今年はどのあたりにしようかな」...
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消し墨の文

 昇降口の下駄箱を開けると、一通の手紙が入っていた。  なんだろうと思い封を開けると、それはどうやらクラスメイトの葉月さんからの手紙のようだった。  僕は内心かなりドキドキしながら手紙の中身を読んだ。 「三...
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