コヤギ博士の研究所を訪ねると、博士は上機嫌だった。
「ついに完成したんだよ」
博士は私を研究所の裏手にある畑に案内した。
「まもなくだと思うから、よく見ていたまえ」
私は畑を見た。
そこにはナスがなっていた。
しばらく待っていると、驚くべきことが起きた。
ナスが一人でにもげて、ヘタの部分が広がり、ぶうんと飛び上がった。
ちょうどヘリコプターのような形だ。
そして驚くべきことに、ナスはそのまま博士が用意したらしいカゴに一人でに入っていった。
「品種改良を重ねてね、ついにできたんだ。自動で収穫されるナスだよ。今夜はこいつで麻婆茄子でも作ろうかな」
コヤギ博士は上機嫌でそう言った。
翌日、私はまたコヤギ博士の研究所に向かった。
昨日のナスの味を聞こうと思ったのである。
研究所に入ると、そこに博士がいた。
しかし妙なのである。
博士は、昨日ナスが一人でに収穫されていったカゴの中にいた。
博士は憔悴した様子で言った。
「あのナスを食べたかららしい。このカゴの中から出られなくてね」
私は博士に「何か手伝いましょうか!? そうだ、カゴを壊しましょう」と言ったが、博士は首を横に振った。
「時間が解決してくれるさ。私の体内からナスが出ていけば。その後、このカゴは捨てるとしよう……」
コメント