ショートショート作品

「勝者、山崎さん！」 　僕は二回戦を突破した。 　僕は今、怪談を語るコンテストに参加している。 　あるビルの前を通りかかった時、コンテストの看板を見つけてフラッと入ってみたのである。 　元々怪談は好きだった...

　最近不眠症気味である。 　夫のいびきも原因の一つかもしれない。 　会社でため息をついている私に、同僚が言った。 「催眠シャンデリア、いいよ」 「え、なにそれ」 「眠気を誘うシャンデリアなの。天井に...

　ある女性歌手がいた。 　その女性歌手には一つの特徴があった。 　肩にオウムを乗せているのである。 　そのオウムが女性歌手の歌声に合わせてコーラスを歌うというのだ。 　オウムのコーラスは素晴らしく、二つの歌...

　僕は今就職活動に勤しんでいるのだが、全然内定がもらえず焦っていた。 　いい加減なんとかしないとやばい。 　そんな時、内定をもらった友人がこんなことを言った。 「いいところを紹介してやるよ」 　友人が教えて...

　僕は今、山の頂上でその時を待っていた。 　三脚を立ててカメラをセットしてある。 　そのカメラはすでにレンズを外してあった。 　このあたりに"羽レンズ"が出るという噂を聞いた。 　羽レンズとはふらふらと飛ん...

　我が家に新しいソファがやってきた。 　私がさっそくその新しいソファに座ろうとすると、ばいーんとソファに弾かれてしまった。 　お母さんが笑いながら言った。 「そのソファはその日頑張った分だけ座れるんだよ」 ...

　私はある古民家カフェに入った。 　なんだか雰囲気の良いお店で、気になったのだ。 　頼んだプレートランチが運ばれてくる。 「おまたせしました」 　店員さんがそう言ってテーブルにプレートを置いた瞬間、プレート...

　娘に絵本を読み聞かせていた時、娘がこんなことを言った。 「うちのシャンプーはこんなにならないねぇ」 　絵本の中でお風呂に入っている女の子が髪を洗っている場面で、女の子の髪はもこもこの泡に包まれていた。 　これは絵...

　ある町に新しい特産品ができた。 　それは「掘るゴール」というものだった。 　なんとその町ではオルゴールが収穫できるのである。 　一見、じゃがいものようなのだが、取手のようなものを回すと、どういう仕組か音楽が鳴るの...

　仕事の関係で辺鄙な村に泊まることになってしまった。 　その村にある宿には古い井戸があるらしい。 　そしてその井戸の中からは鈴の音が聞こえるそうなのだ。 　宿の主人から「鈴の音が聞こえても気にしないでくださいね」と...