ショートショート作品

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隅鍋

 一人暮らしをしている友だちの家に遊びに行った時のこと。  僕がふと部屋の隅を見ると、そこに何かが布をかぶせて置いてあった。 「なにこれ」  僕が尋ねると、友だちは言った。 「おぉ、それか。鍋だよ」 ...
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廃墟の動物園

 ある日、彼女とドライブをしていた時に、廃墟になった動物園に迷い込んだ。  看板を見るからに、どう考えても営業中ではないのだが、興味を持った僕たちは動物園の中に入ってみることにした。  意外にも動物園の中には動物がいて、ゾ...
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安いよセミ

 あるところに八百屋さんがおりました。  ある夏の日、八百屋さんの店先の柱に、一匹のセミがとまりました。  そのセミは「ヤスイヨー」と鳴き始めました。  おかしなセミだなぁと思っていると、その声につられて買い物客が...
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仮病幽霊派遣

 仮病でズル休みをするいい方法を見つけた。  幽霊を派遣してもらうのである。  幽霊専門の派遣会社があるらしい。  私はさっそく幽霊の派遣をお願いした。  "稲田さん"という幽霊がやってきてくれるらしい。 ...
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ある村の風習

 ライターである私は、ある村に変わった風習があると聞いてその村にやってきた。  その風習とは、いわゆる「おこもり」のようなもので、年に一度、その日だけは日没後に家を出てはならないというものだった。  それだけなら特に珍しく...
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切り株の活用

「人食いの木」というものがあった。樹液で人を呼び寄せ、食べてしまうという恐ろしい木だった。  人々は協力し合ってその木を切った。  人食いの木を切った後、その切り株にある特徴があることが分かった。  そして人々は切...
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運命割

「運命割」という制度ができた。  それは運命が過酷な人のための制度だった。  国の認定占い師に運命を見てもらい、一定以上の基準値に達している人は様々な割引を受けられるのだ。  認定占い師による認定は一年ごとに更新さ...
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お祈り貝細工

 大学で好きな男の子ができた。  ツンツンしているけど、なんだか優しいのだ。いわゆるツンデレという感じだろうか。  私は男の子に言った。 「ねぇ、付き合ってよ〜」  男の子は「やだ」と釣れない。 「...
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寒中ポップコーン

 コヤギ博士が私たち家族を研究所に招いた。 「美味しいものを用意したんだよ」  そう言ってコヤギ博士が取り出したのは、小さな豆のようなものだった。 「これはね、こうするんだよ」  コヤギ博士は豆のようなもの...
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スイッチのある部屋

 おかしな部屋に入居してしまった。  入居前に内見をしなかった僕も悪い。が、この部屋も悪いと思う。  この部屋にはとにかくたくさんスイッチがあった。  そのうちの一つを押してみると、ピンポーンと呼び鈴の音がして、出...
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