ショートショート作品

ショートショート作品

ばかば花粉

 新しい花粉症が流行り始めた。  その原因となった花粉は「ばかば花粉」と呼ばれた。  ばかば花粉症になると、色々なことがバカバカしくなってしまう。  仕事や勉強のやる気が無くなり、重症化すると生きているのがバカバカ...
ショートショート作品

焚き本屋

 私は本を読むのが好きなのだが、本の捨て場に困っていた。  古本屋に売るのはなんだか作者の人に悪い気がして気が引ける。  かといって、捨ててしまうのも罪悪感がある。  そんな時「焚き本屋」というものがあることを知っ...
ショートショート作品

読み聞かせワイン

 友だちの家に行くと、友だちがワインを取り出した。 「これは面白いワインでさ」  友だちはこんな話を始めた。  先日、友だちはワイン好きの知り合いの家に行ったらしい。  すると、本がたくさん本棚に置いてあっ...
ショートショート作品

メロディ風呂

 私は一人旅で、ある宿にやってきた。  ここにはメロディ風呂というものがあるらしい。  部屋に案内された私は、さっそく風呂に行ってみることにした。  中に入ると、たくさんの宿泊客でやや混んでいた。  まずは...
ショートショート作品

やる気山車

 ある日、僕は大学を休んでぼーっと部屋で寝転んでいた。  何もやる気が起きない。  と、その時、部屋の外の道から威勢のいい声が聞こえてきた。  なんだ、と思い窓を開けて見ると、山車が通っていた。  え、今日...
ショートショート作品

学校のからくり時計

 私の通う小学校には、校庭にからくり時計が生えていました。  立派な木で、その幹の真ん中に空いた穴から本物の鳩が出てきて、ほっほーほっほーと鳴いて時間を教えてくれるのです。  私はこのからくり時計が大好きでした。 ...
ショートショート作品

マントの本屋さん

 小学校からの帰り道を歩いていると、マントの本屋さんが歩いているのを見つけた。 「マントの本屋さーん!」  私はマントの本屋さんに駆け寄った。  マントの本屋さんは今日も黒いマントをすっぽりとかぶっていた。 ...
ショートショート作品

蘊蓄音機

 彼の家に遊びに行くと、彼が「薀蓄でも聞く?」と言いながら、何やら機械を持ってきた。 「何それ?」 「薀蓄音機というものさ。こうしてスイッチを入れるとね……」  彼が機械のスイッチを入れると、蓄音機から音楽ではなく...
ショートショート作品

歩き方教習所

 妻が「歩き方教習所」なるものに通い出した。  歩き方なんて、いちいち習ってどうするというのだろう。 「あら、すごくいいのよ。人間、歩き方が変わると気持ちも変わるものよ」  妻はそんな風に言っていたが、私は聞き流し...
ショートショート作品

魔法の門限

 最近、友だちと公園で遅くまで話すことにハマっている。話題はやっぱり恋バナが多い。  だけど……。  あぁ、ほら。  私の体は一人でに動いて、帰り支度を始めた。 「もう帰る時間?」  友だちに聞かれ...
タイトルとURLをコピーしました