ショートショート作品

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ジグソーハンド

 僕が手の包帯を取ってもらえたのは、物心がついてかららしい。  おかげで僕は未だに指をまともに動かすことが出来ない。普通の子どもならしているであろう、指を動かす練習をしてこなかったからだ。  僕の手が包帯に包まれていた理由...
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見返り教習所

 最近、部下の佐藤さんが綺麗になった。 「佐藤さん」  私が呼び止めると、佐藤さんはこちらを振り返った。  不覚にもドキッとしてしまう。  私は、佐藤さんにその秘訣を教えてもらうことにした。  する...
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反省の色メガネ

「反省の色」が見えるメガネが発明された。  そのメガネをかければ、反省しているかどうかひと目で分かるのである。  きちんと反省しているものは薄いブルーの雰囲気をまとっている。  メガネは様々な場面で有効活用されたが...
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カナリアドリンク

 コヤギ博士がまた新しい発明をしたというので、私は博士の研究所にやってきた。  コヤギ博士は、私を見るなり言った。 「素晴らしいドリンクを開発したよ!」  なんでも、そのドリンクとは"カナリアドリンク"というもので...
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逃した鳥

 ある町で、漁師が海底に沈んでいた鳥かごを見つけた。  鳥かごの中にはまだ生きている鳥がいて、船は大騒ぎになった。  漁師が鳥かごを持ち帰る途中で、鳥は鳥かごから抜けて逃げてしまった。  漁師の話を聞いて、村の人々...
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これダメオウム

 我が家は小さな商店を営んでいる。  商店の店先でオウムのムーちゃんを飼っているのだが、ある日、カゴから飛び出したムーちゃんが売り物の缶詰の上にとまって「ダメーダメー! これもうダメ―!」と鳴いた。  見てみると、古い缶詰...
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エゴバッグ実験について

 これは知られざる社会実験の記録である。  その実験とは「エゴバック」にまつわる実験であった。  任意の対象者向けに、"エゴバック"というものを配布した。  そのバッグは常に対象者を観察し、対象者がエゴに基づく行為...
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日当たり弁当

 コヤギ博士に呼ばれて、私は研究所にやってきた。 「これを見てくれ」  コヤギ博士が取り出したのは、一つの弁当箱だった。 「育ち盛りの子がな、いつも早弁をしてしまって困るという悩みを解決するために発明したんだよ」 ...
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税花

 ある国で、ある花を育てることが爆発的に流行った。  それだけなら微笑ましいものであるが、その熱狂ぶりは凄まじく、次第に仕事に身が入らなくなる国民も現れた。  その花を育てることは、ある種の麻薬のような依存性を持っていた。...
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フィギュア温泉

 フィギュア温泉というものがあるらしい。  それは、読んで字の如く、フィギュア専門の温泉らしいのだ。  効能も面白く、フィギュアの関節にいい、なんて効能があるらしい。  僕は、お気に入りのモユたんを連れてフィギュア...
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