フィギュア温泉

ショートショート作品
スポンサーリンク

 フィギュア温泉というものがあるらしい。

 それは、読んで字の如く、フィギュア専門の温泉らしいのだ。

 効能も面白く、フィギュアの関節にいい、なんて効能があるらしい。

 僕は、お気に入りのモユたんを連れてフィギュア温泉にやってきた。

 温泉は一見普通の温泉だが、フィギュアと一緒に入浴することができ、僕と同じようにフィギュアと入浴している人がたくさんいた。

 お湯に浸かったモユたんを見ると、心なしか満足しているように見える。

 なんだか肌ツヤも良くなったような気がする。そういう効能もあるのかな。

 温泉から帰ってきた僕は、大満足で、きっとまた行こうと思った。

 しかし、仕事が忙しくなり、中々予定がつかなかった。

 そんな頃、おかしな夢を見た。

 真っ暗な空間に、誰かが立っている。それは、モユたんだった。

 モユたんは僕を見つけると、なんと自分で動いて駆け寄ってきた。

 そしてモユたんは顔の表情を動かさずに言った。

「洋一さん、早くあの温泉に連れて行ってよ〜!」

「え? で、でも仕事が……」

 そこで、ハッと目を覚ました。

 夢か、と思いモユたんがいるケースを覗くと……モユたんがいなくなっていた。

 え、なんで!? 昨日の夜まではちゃんとそこにいたのに!

 僕は必死で探し回ったが、とうとうモユたんは見つからなかった。

 出社の時間が迫り、仕方なく会社に行こうと車のキーを持つ。

 駐車場まで来ると、僕の車がなくなっていた……。

コメント

タイトルとURLをコピーしました