ある国で、ある花を育てることが爆発的に流行った。
それだけなら微笑ましいものであるが、その熱狂ぶりは凄まじく、次第に仕事に身が入らなくなる国民も現れた。
その花を育てることは、ある種の麻薬のような依存性を持っていた。
そこでその国の国王は、花を育てることを禁じた。
しかし、隠れて花を育てる国民が後を絶たなかった。
そこで国側は花を育てることを許し、その代わり税金をかけることにした。
その花を育てていたら、その分だけ規定の税金を納めなければならない。
そうなると、やはり隠れて育てる者が出てくるので、家臣たちは取り締まりを一層強化しようと思ったが、王様が「あまり神経質にならなくてもよい」とそれをいさめた。
家臣は国王の様子を怪しんだ。
まさか、国王もあの花の魔力に取り憑かれてしまったのではないか。
家臣の一人が国王の個人的な庭に侵入し、調べを行った。
しかし、花は一輪も咲いていなかった。
家臣たちは皆、思い過ごしだったか、と胸をなでおろした。
しかし、家臣たちの予感は当たっていた。
国王は頭の中でこう考えていた。
隠れて花を育てている者はしばらく泳がせて、一斉に摘発したほうが税収が上がるだろう。
密かにほくそ笑む王様の頭の中は税花のことばかりで、まるでお花畑のようであった。
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