夜ふかし禁止令

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 おかしな制度ができた。

 それは「夜ふかし禁止令」というものである。

 夜、遅くまで起きていると罰金を取られるのだ。

 たとえ遅くまで起きていてもバレなければいいが、バレると強制的にお金を徴収される。

 夜ふかしなどで睡眠時間が減ると寿命が減るから、という理由で施行された条例らしい。

 夜ふかし禁止令の施行が決まった時、会社の隣の席の間宮さんは「困ったもんだねぇ」とトレードマークの八重歯を見せながらニッと笑った。

 まぁ私は睡眠時間はしっかりと確保したいし、寝る時間を長く取れるならいいかなぁと思っていた。

 会社も、夜に稼働する必要がある会社以外は、社員に十分な睡眠を取らせるよう定時を早くするなどの措置が取られた。

 夜ふかし禁止令が施行されてから、なんだかみんな健康になった気がする。

 それはいいことだな、と私は思った。

 しかし最近、隣の席の間宮さんがずっと会社を休んでいる。

 私は課長に「間宮さん、どうしたんですかね?」と尋ねた。

 すると課長がこんなことを言った。

「あぁ、お前知らなかったっけ。あいつ、吸血鬼だから昼間会社来れないんだよ。寝るべき時間に起きてると罰金だからさ」

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